トランプのグローバルネットワークをさらに知るために、本誌は36人のパートナーについて調べることにした。そして、5カ国に足を運んで十数人のパートナーたちにインタビューを行った。その結果、以下のようなことが判明した。
・ロシアでパートナー契約を締結する可能性がある人物は、トランプファミリーと1月ごろにメールのやり取りをしたばかり。
・フィル・ラフィンとトランプ・オーガニゼーションはラスベガスでトランプカジノの建設を構想中。政府支援による高速鉄道建設でロサンゼルスへのアクセスが向上すれば、カジノ構想はさらに加速するだろう。この件について、すでにトランプ大統領と協議した。
・インドネシアのメディア王と呼ばれるトランプのパートナー、ハリー・タヌスディビョはトランプの選挙戦略を見習って、10年以内に世界第4位の人口を誇るインドネシアの大統領になろうとしている。同氏は最近、ある政府高官に殺人の罪を着せた陰謀への関与が取り沙汰されている。
・トランプ大統領のイスラム教徒への強硬姿勢がトルコのビジネスパートナーたちの間にお家騒動を招く一因となった。
インタビューを通して非常に興味深いことがわかった。少なくとも19カ国に及ぶトランプのビジネスパートナーたちには、男性で不動産開発業者という以外にもいくつかの共通点があるのだ。
全員が例外なく金持ち。7人はフォーブスの長者番付にランクインする資産10億ドル以上の「ビリオネア」、それ以外の人は資産1億ドル以上の「金持ち」。おまけに大げさで派手なマーケティング、破天荒な言動、政界とのコネ、どれをとっても彼らはパートナーであるトランプにそっくりだ。
そして、どのパートナーも第45代アメリカ大統領を利用していかに利益を上げようかと考えているのだ。
「われわれはプロジェクトのパートナーたちと素晴らしい関係を築いている」と話すのはトランプ大統領の次男で、長男のドナルド・ジュニアとともに不動産会社トランプ・オーガニゼーションの共同CEOを務めるエリック・トランプだ。
「ビジネスパートナーとは必ずしも友人になる必要はないとよく言われる。パートナーと友人とは両立できないかのごとく」。父から引き継いだこのグローバルネットワークの中心にいるエリックは「こういう考え方は間違っている」と思っている。
アメリカの建国文書である合衆国憲法の報酬条項は、政府の公職についている者が外国の皇族や政府からいかなる贈与、報酬、役職、称号も得ることを禁じている。これまで報酬条項が訴訟の争点になったことはなかったが、憲法学者や超党派の倫理専門家からなるグループはトランプ大統領の提訴に向けた長々とした手続きに入った。