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「業界での経験」より「才能」を重視

人が足りなくなれば、他のエージェンシーや広告代理店の敏腕クリエイターを引き抜くのが広告業界の常套手段だ。しかしW+Kの場合はそうとは限らない。

「例えば、大きな自動車のキャンペーンを任されたとしても、我々は他社から有名な車のキャンペーンを手掛けたクリエイターを引き抜いたりする必要はない。純粋に優秀な人を探すだけで、むしろ自動車業界の仕事をしたことがない人を見つけることを重視してもいいかもしれない。アウトサイダーとしての視点を持っていることが大事だ」。東京オフィスでマネージング・ディレクターを務めているジョン・ロウは言う。彼がどの業務よりも時間をかけているのがリクルーティングだという。

「当社でナイキのコピーを書いているコピーライターのうちの何人かは、もともとはスポーツのブログを書いていたブロガーだ。彼らは、広告業界は未経験だったけれど、スポーツに対する情熱が半端ではなかった」

業界での経験ではなく、その人にしかない才能にポテンシャルを見出し採用するのがW+K流。スタッフのバックグラウンドはさまざまで、元物理学者、小説家、ミュージシャンやDJ、弁護士、物理学者、詩人までいるそうだ。

「SNSをはじめとするメディア環境の著しい変化の中、広告業界にはおそらく10年後まで生き残れない会社が多数でてくるだろう」。ルアーは言う。そんな広告業界で生き残るために一番重要なのは、多くの営業部隊を抱えていることでも、媒体を押さえていることでもなく、“クリエイティブの力”だと続ける。

「これからの広告は、消費者を『楽しませる』ことが『説得』に繋がっていく。そう大きく変わっていくだろう」


デイブ・ルアー(Dave Luhr)◎ワイデン+ケネディーCEO。1977年より広告業界でキャリアを開始。86年よりワイデン・アンド・ケネディーに移り、ナイキのキャンペーンで業績を残した後、92年にポートランドオフィスのマネージング・ディレクターに就任。2006年にグローバル・マネジメント・チームのCOOに就任し、同社を世界最大の独立したグローバル広告代理店へと成長させた。

ジョン・ロウ(John Rowe)◎ワイデン+ケネディートウキョウ マネージング・ディレクター。2005年同社ポートランドオフィスに入社。東京オフィスの前は、10年に渡り、オレゴン州ポートランドのホームオフィスで、スターバックス、ハイネケン、フェイスブックなど、革新的な世界的ブランドのプロジェクトの統括を担当。2015年4月より、ワイデン+ケネディー トウキョウのマネージング・ディレクターに就任。

Text by Atsushi Koseki Edit by Mari Minakuchi

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