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2017.07.27

IWCのキーパーソンたちに聞く ── スポークスマン/元時計師 クルト・クラウス

写真左からエッセイストで服飾史家の中野香織氏、書家の中塚翠涛氏、円谷プロダクション取締役・マーケティング統括室長の杢野純子氏、クルト・クラウス氏、声楽家でマーケティング専門家の武井涼子氏と、Forbes JAPAN副編集長兼ウェブ編集長の谷本有香。

「IWCの頭脳」と呼ばれ、時計業界の歴史に残る数々の偉業を成し遂げた伝説の時計師、クルト・クラウス。IWCの顔といわれる「ダ・ヴィンチ パーペチュアルカレンダー」を考案した、御年82歳の天才技術者が語るIWCのアイデンティティとは──。

15歳のとき、時計師になろうと決めてから、半世紀以上にわたって時計をつくってきましたが、いまもその情熱は忘れていません。

私は実質的には引退をしていますが、いまも若いエンジニアたちやコンピュータという新しい技術と自身の経験値とを結合させ、IWCの時計作りで新たな可能性を模索することが楽しくて仕方ないんです。

機械式時計のルネサンスなどと称していただける私の「パーペチュアル・カレンダー」システムを考案し、腕時計として世に初めて出したのは1985年のことです。パーペチュアル・カレンダーとは、月による日数の違いや、4年に1度のうるう年なども自動的に調整するカレンダー機構です。

日本の時計メーカー「セイコー」が世界初のクオーツを発表、正確で安価な時計が大量生産されたことで、スイスの時計産業が瀕死に陥った70年代の「クオーツショック」後に私が開発に取り組んだものでした。

このパーペチュアル・カレンダーによって、世界の人々の情熱をクオーツから再び機械式時計に集めることに成功したのです。

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1934年スイス生まれのクラウス氏。57年にIWC入社後、85年の「ダ・ヴィンチ」を筆頭に数々の名作を生み出した。

私はよく「パーペチュアル・カレンダーをどうやって思いついたのか」と聞かれるのですが、それに対する答えを実はもっていないんです。いつも森の中を犬と散歩していたり、景色をボーッと見ていたりするときにアイデアをポッと思いつきます。そう、まるで天からアイデアが降ってくるように。

そもそも70年から80年は時計業界にとって「アドベンチャー」の時代でした。自分で新しいことを見つけなければならなかった時代です。いまはアドベンチャーというよりもエンジニアの時代ではないでしょうか。特にこの30年間で大きく変わったのは、時計づくりをコンピューターがサポートしてくれるようになったことです。

しかし50年前に私がしていたように、いまの職人たちが手作業で時計をつくっていることは変わりません。IWCの伝統やDNAを受け継いだ時計職人たちが丹念に一つひとつ組み立てていく。最終的にはやっぱり「ヒトの手」なのです。それはこれからAIが進化しても変わらないでしょう。

text by Yuka Tanimoto, Tsuzumi Aoyama | photographs by Kohei Harada (WIT PLAATS)

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