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2017.07.25

各界の第一線で活躍する5人の女性が、IWC創業の地・シャフハウゼンで語り合う

1583年には時計職人ギルドが設立されるなど、長きに渡る時計製造の歴史を持つシャフハウゼン。約150年前にIWCが創業した地であり、IWCの時計工房からは穏やかに流れるライン川を望むことができる。

静かな自然美の街、シャフハウゼン。その地で150年の歴史を重ねたIWCに携わるプロフェッショナルとの会話から、5人の女性が感じたもの、得たものを語り合う「シャフハウゼン会議」が開幕した。

谷本有香(以下、谷本):豊かな自然や美しい街並みがフォトジェニックなシャフハウゼン。皆さんの感想は?

武井涼子(以下、武井):私が来たことがあるチューリヒのより南のほうイメージと違い、柔らかい緑の山が多く、ソフトなイメージをうけました。

杢野純子(以下、杢野):もともと理系でものづくりに興味があったので、IWCのものづくりの神髄に触れられたことが面白かったですね。実用的でありながら機能を追求した結果の美が成立しているところにすごみと共感を覚えました。

中野香織(以下、中野):服飾評論の観点から時計を語ったことはありましたが、あらためてブランドの神髄に触れ、とても衝撃を受けました。ロジカルなデザインの考え方には驚きましたし、時計における美の基準も新鮮な発見でした。

中塚翠涛(以下、中塚):飛行機から見たライン川のゆったりと波打つ様子を美しく感じました。そして、そこに住む人たちもまた、ライン川と同じ時を過ごしているように感じたんです。

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谷本
: 今回は「時を刻む」時計をめぐる旅なので、「時間」についても考えてみたいんですね。ただ、「時間」という概念について語るのは難しい。それでも東京にいたときとここシャフハウゼンにいるときでは、「時」への向き合い方がまったく違うことは皆さん実感しているはず。

それは、私たちがビジターであるからではなく、シャフハウゼンにいる人たちの息遣いや時への寄り添い方が伝導・伝播して同じ「いま」を共有している感覚です。

東京にいるときに感じるような「時間を支配する・される」という対峙する感覚ではなく、さまざまなノイズから解放されて「時」とは「自分自身」だと気づくような感覚がありますが、皆さんはいかがお考えですか?

武井:時間のとらえ方は人によって違う。でも誰にとっても有限のもの。だから全体を見たときに最も効率的に使うためには何をすべきかを常に考えます。が、それはある区切られた時間内の生産性を意識することとはまったく別の話です。

中野:時間とは命そのもの。永遠に感じられることもあります。それは感情が非常に大きく動くとき。あることにどれくらい没入できたかで時間の感じ方が変わる。

武井:集中して舞台にたつとき、ゾーンが訪れることがあります。そのときは一瞬の時間が永遠に感じられる。時間内の生産性を考えながら行うプレゼンテーションではそれはやってこない。

中塚:忙しいときほど、私は何もしない時間を入れるようにしていて、それによって10倍の力を発揮できる。余白を持ち続けていることで、違うところからインスピレーションが降りてくるということもあります。

中野:ファッション史の観点から言うと、その時代に深く当時の人たちと時間を共有していたものは永遠になります。クリスチャン・ディオールのニュールックや、マリークワントのミニルックなどは、時代に流れた感情を象徴するスタイルでした。

中塚:芸術のなかでも、時代背景から作者の意図を読み解くことでより正しい理解ができることがあります。

武井:温故知新というように、過去の知識を得ることは自分自身が5倍にも10倍にも深く生きることに繋がる。けれど、過去の知識を学ぶには時間がかかり、時を重ねることが必要です。一方で、時を重ねれば肉体的な変化は避けられません。例えば歌には肉体の衰えは大きく影響します。それにあらがうためにはトレーニングが必要で、つまり、時間とは闘うことも必要。

中塚:私は書家という職業柄、時を重ねることで厚みのある作品を作っていけるよう、時間の積み重ねを大切にしています。

中野:ファッション史を通して見てみると、永遠不変の「美」はありません。そんな退屈なことはありません。何が美しいとされてきたのかといえば、共通項は「生命感」。バロック真珠のように真円でない真珠が高く評価される時代もありました。

武井:例えば日本では今よりやせたいとダイエットが相変わらずブームですよね。

杢野:プリクラで「盛る」でしょう? 盛っていくうちにみんな同じような顔になっていき、それをSNSに投稿する。見ている方も、本人も、実際とは違うことがわかっていて同じ顔に集約されていくことで、何を求めているんだろう? と思うんです。

武井:実は、日本は、自己肯定感が充分に醸成されていないといわれているんですね。今のままの自分は素晴らしいと素直に肯定することは自分のアイデンティティを認める強さになり、それは実は日本の文化のアイデンティティを守ることにもつながるのです。

IWCのどの人に会ってもみな、ブランドの良さや「らしさ」が言え、誇りを持っていました。国の文化とブランドの関係性を考える議論があるのですが、時計作りへの誇りはスイスの文化イメージにも容易に結び付く。そのおおもとには個人個人の自己肯定感があると思いました。

中野:自己肯定感を育むため、まず他人を褒めるということでいい循環を起こしていく方法があります。人と違うことが攻撃されるのではなく、違う部分があることが素敵だと思われるようになれば、全体の自己肯定感は上がっていくはずです。いまはネガティブな循環が起こってしまっているように感じますね。

例えばスーツづくりでは、日本では一定の幅のなかにどれくらい細かく縫い目を入れるかで繊細さが問われるのですが、イタリアの仕立て屋さんは目を詰めるところとそうでないところを自分で決める。だからほつれるんですが、服としてはセクシーに仕上がるんです。

逆に日本のスーツは素人目にはみな同じように見える。正確な技術を使いながら、感情を縫い目に入れるようにここは厳しく、ここはゆるやかにやろう、と使い分けるやり方もあります。

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IWCというブランドの神髄を知るキーパーソンや、そこで働く女性の姿を見た5人の女性が、インスピレーションを刺激され、語り合った。


杢野:高校生のとき数学の先生がある証明を説明したあと「美しいだろ?」とおっしゃった。答えに到達する過程は人それぞれですが、数学でいう美しさはその流れそのものなのです。

武井:感覚にタッチするところ、遊びがあってもいいと思います。感情の自由さがあるなかには自己肯定感があり、そこに美しさも出てくるのではないでしょうか。

谷本:「美しさ」というと形のあるものやビジブルな造作などに帰結しがちですが、この旅を通じて私が感じたのは「あり方」とか「観念」や「意志」といったインビジブルなものにこそ「美」という表現を必要とする核のようなものがあると感じました。

それを中野さんは「生命感」と言い、武井さんは「自己肯定感」と表す。私がそれをあえて言葉にするなら「揺るがない自身にとっての正しさ」という言い方、もしくは「自身の価値観への忠実さ」。それが強さを伴って放たれるとき、人はその有り様を美しいと呼ぶのではないでしょうか。
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Promoted by IWC text by Yuka Tanimoto, Tsuzumi Aoyama photographs by Kohei Harada(WIT PLAATS)

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