その中で特に注目を浴びたのが、人工衛星のデータを活用し農場主らにデータを提供する、サンフランシスコ本拠の衛星スタートアップ企業のプラネット(Planet)だ。
「大規模農場を運営する大手企業から、農家向けに作物の種を販売する企業まで、顧客には業界の様々なステークホルダーらが居る」とプラネットのアカウントマネージャーを務めるRyan Schactは語る。
プラネットは2010年12月の創業以来、急拡大を続ける小型衛星市場をリードしてきた。同社はこれまでエクイティとデットを合わせて1億8000万ドル(約202億円)を調達し、今年初旬にはグーグルの衛星事業「Terra Bella」を買収。既に100以上の人工衛星を保有し、宇宙から見た農地のイメージデータを提供している。
衛星のサイズはワインボトルよりも小さなものもあれば、より大型の衛星もある。プラネットは先日、地理データを提供するBlackBridgeもその傘下に収めた。多様な衛星からのデータを取得し、プラネットは農場主のニーズに沿ったデータ提供する。
「データの活用により、従来よりも効率的な農場運営が行える。必要な堆肥の量や、農地内に潜む潜在的な問題の把握も可能だ。これまでに無かった観点から農地の運営が可能になる」とSchactは言う。
また、衛星で撮った写真データにより、周囲の環境の変化も知ることができる。特定のスポットの画像を毎日記録することも可能だ。「長期間にわたる農地の変化を記録することは、農場運営上の様々な決定の手助けになり、リスクの回避にも役立つ」とSchactは続けた。
「特定の農地で起こっていることを、グローバルのデータと照合して分析することも可能だ。地域ごとの収量や、作物の種類を地球規模で把握することで、農業の未来に大きな変化をもたらすことができる」