一つ目は、Touch IDセンサーをディスプレイに組み込む方法だ。これまでと同じ位置にTouch IDセンサーを設置すれば、ユーザーは従来と同じ感覚で指紋認証を行うことができ、アップルが推進する「ボタンや端子類の廃止」も実現できる。
しかし、サムスンは8月発売のGalaxy Note 8で指紋センサーをディスプレイに内蔵しようとしたがうまくいかず、背面カメラの横に設置することになるという。アップルも開発に取り組んでいるが、このセンサーは生産台数の確保がかなり難しいとも伝えられている。
二つ目にあげられる推測はかなり大胆な仮説だ。先日、iPhone 8の電源ボタンが従来の2倍のサイズに “巨大化” するとのリーク情報が流れたが、この巨大な電源ボタンにTouch IDセンサーを内蔵するのかもしれない。ソニーのXperiaが既に電源ボタンにセンサーを搭載しており、アップルがディスプレイ内蔵の指紋センサー開発に苦戦しているのであれば、この方法を採用することも十分考えられる。
「顔認証」搭載の可能性も浮上
三つ目は、Touch IDを廃止して顔認証機能を搭載するというものだ。この方法はアップルコミュニティの間で大きな話題となっており、三つの方法の中では最も画期的で利便性も高い。しかし、明るさや環境によってユーザーの顔の色や輪郭が変化するため、Touch IDよりも正確でスピーディーな処理を行えるかが課題となる。
この三つの選択肢の中で筆者は個人的に、ディスプレイ内蔵の指紋センサーが搭載される可能性が高いと見ている。アップルは、iPhone 7でホームボタンを物理式から感圧式に変えたが、これはその次のステップとして自然な流れであり、ユーザーの期待にも応える内容だと言える。また、「増産が難しい」との見方も、iPhone 8の発売が遅れるという情報を裏付けるものと言える。
一方で、アップルが補助的手段として顔認証機能の開発を目指しているとしても全く不思議ではない。iPhoneのセンサーや端子類を削減することが長期的目標なのであれば、指紋センサーを廃止して顔認証カメラを採用する方が理に適っている。
しかし、ディスプレイ内蔵の指紋センサーと顔認証機能は、いずれもハードとソフトの両面で多くの課題を抱えている。アップルは、ディスプレイ内蔵指紋センサーの特許を取得しているが、大量生産が可能かどうかは分からない。現段階で最も確度が高い情報と言えるのは、電源ボタンがこれまでと比べて異様なほど大きくなるということだけかもしれない。