パーソナライゼーションに関連したサービスを提供する米リッチレリバンス(RichRelevance)が先ごろ発表した年次報告書「クリーピー・オア・クール(不気味かクールか)」によれば、調査対象者の63%は「顧客体験が向上するなら、自分自身に関する情報を企業に提供する」と答えている。
一方、小売業者をはじめとする企業が顧客に対する理解を深めれば深めるほど、消費者はそのことに不気味さを感じるようになると見られている。これは、(誰かに監視されていると思う)「ビッグ・ブラザー効果」のためかもしれない。報告書に示される調査結果は、以下のとおりだ。
・音声認識: 言葉を発することによって、商品を探したり注文したりすることができる── クール 46%/不気味 22%
・指紋認証: 購入した商品の支払いから配送の申し込みまでができる── クール 46%/不気味 34%
・顔認識: 来店客の顔から忠実な顧客であることを認識し、店内にいる従業員にその人の好みの商品を知らせる── クール 18%/不気味 69%
・人工知能: 顧客の買い物習慣を把握しており、人工知能(AI)やデータを使ってその客の代わりに商品を選び、注文してくれる── クール 15%/不気味 69%
・AI顧客サービス: 人間のスタッフではなく、AIを利用したコンピュータープログラム(チャットボット)などが顧客サービスに対応する── クール 23%/不気味 50%
また、世代によって「クール」と受け取る人の割合に差が目立った技術もある。
・ インタラクティブミラー/ VRゴーグル: 鏡の前で、今試着しているものに合わせる商品を映し出して示してくれる── ミレニアル世代 52%、全体 41%
・ロボット: 探している商品のある棚まで、店内を案内してくれる── ミレニアル世代 51%、全体 41%
「クールさ」に必要なもの
小売業者が「クール」であるためには、どうすればいいだろうか?消費者の「気味が悪い」という気持ちは、なぜ店側が自分に関するその情報を持っているのかと驚いたときに生まれる不信感からきている。まずは、消費者には選択肢を提供することだ。店と共有する自分の情報を消費者が自ら選んでいれば、そうした不信感は「承諾」に変わりやすくなる。
また、企業が「隠し立てしない」ことも重要だ。顧客に関するどの情報を収集しているのか、なぜそうするのか、それによって顧客はどのような利益を得るのかについて、分かりやすい言葉で説明する必要がある。さらに、情報を入手する目的の実現に必要なデータだけを収集することが重要だ。