仰天の走り、スバルWRX STIの制御力は異次元レベル

(写真=スバル)


実を言えば、今回のブレーキ一新は特にアメリカのユーザーから指摘されていた制動力不足とブレーキ・フェードを解消するための対応だ。「一部のオーナーから『走行会で全開で走ると、ブレーキが数周しかもたない』と言われていたが、6ピストン採用で解決した」と言う開発エンジニアの一人は、 「これで、30分の走行会をしても大丈夫。ブレーキ・フェードもないはずです。踏んでも踏んでも効き目は衰えない」と、胸を張った。

一方、パワーとトルクに関して変更がないのは、スバルが現行STIのエンジン・スペックに自信を持っていることの表れだ。正直なところ、テストした僕もそれで充分だと考えている。セダンは現行と同じく2Lターボ付きボクサーエンジンを搭載し、6速M/Tで304hpで422Nmのトルクを発揮。3500rpmをキープしている限り、ターボラグはほとんど感じられず、いつでも好きなときに爆発的な加速が可能だ。

今回のマイナーチェンジでもう1つ各段にアップグレードされた点は、マルチモードのドライバー・コントロール・センター・ディフの4WDシステムだ。完全な電子制御となることで、ドライバーのハンドル操作に対するクルマの反応は何倍も速くなった。これによってトルクは今までよりも素早く前後に配分され、コーナリング性能を向上させている。

だから、これまで以上にコーナーにシャープにターンインができ、狙ったラインを問題なく保つことができる。また、コーナリング性能の向上により、コーナーの途中でちょっと早めにアクセルが踏めるようになり、タイヤの横方向への滑りも減り、全体的にトラクションもよくなった。

この日、STIの試乗を終えると、僕は思わず相好を崩していた。より大きなブレンボ製ブレーキと改良されたセンターデフこそ、STIの潜在能力を発揮するのに必要だったのだ。もうこれでアメリカ人たちも文句はないだろう。

文=ピーター・ライオン

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