グローバル化成功のネットフリックス、海外会員数が米国を突破

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ネットフリックスの会員数が、米国でケーブルTVの契約者数を上回ったことが先月、大きなニュースになったが、海外での視聴者数も大きく伸びていることが判明した。

ネットフリックスの世界の会員数の合計は1億人を超え、1億390万人に到達した。統計サイトのStatistaによると、海外での会員数は5200万人、米国内の会員数は5190万人で、わずかな差ではあるが、海外の会員数が米国を突破した。

ネットフリックスが近年、注力してきた海外市場へのチャレンジは成功を収めつつあるようだ。筆者は2016年1月、ネットフリックスCEOのリード・ヘイスティングがCESの会場で海外展開の加速を宣言した時に、現場で彼の話を聞いた一人だ。

「地球の隅々にまでサービスを広げていく」というヘイスティングの言葉は、野心的すぎるように当時は思えたが、ネットフリックスは見事な成長を遂げている。米国内での成長には限界があるのは当然のことで、米国の世帯数の1億2600万がおそらくその上限と言えるだろう。現状で1億を突破したネットフリックスは、今後の5年で米国の世帯数を上回る会員を世界で獲得するのは確実だ。

ネットフリックスは中国では政府の検閲を受けるため、サービスを提供しておらず、他にも米国政府の規制により進出を果たせていない地域はある。しかし、シリアや北朝鮮、クリミア等の地域を除く190カ国と、60億人近くの人々が今後の潜在的顧客と見なされる。ネットフリックスほどの規模で拡大を果たした有料サービスは、これまで他に存在しない。規模の点で唯一のライバルと言えそうなのがユーチューブだが、有料サービスの提供地域は限られている。

7月17日、ネットフリックスは今年第2四半期決算を発表し、株価は史上最高値の180ドルを突破した。今期は520万人の新規会員を獲得したが、第3四半期も450万人の獲得を見込んでいる。

ネットフリックスの近年の成功の最大の要因は、オリジナル作品への注力と言える。自社製作の作品であれば世界に向けて配信する際に、面倒な権利処理に悩む必要もない。さらに、地域に応じたオリジナル作品を提供していることもグローバルでの成功を加速させている。
一部では、ネットフリックスは作品の製作に非現実的とも言える予算をつぎ込んでいるとの批判もあがるが、彼らはコストのコントロールに成功しており、安定的に利益を生み出している。

イギリス在住の筆者はネットフリックスが英国に進出を果たして以来、ずっとこのサービスを利用中で、今後も会員で居続けるつもりだ。個人的には有名テレビドラマの「アレステッド・ディベロプメント」の新エピソード17話が来年、ネットフリックスで見られるのを楽しみにしている。

編集=上田裕資

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