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Born and educated in Edinburgh, Scotland, I've been traveling...

Photo by Michael Tran / gettyimages

映画を10本撮ったら引退すると表明しているクエンティン・タランティーノの9作目(「キル・ビル」2作品を1作とカウント)が、1969年にカリフォルニアで起きたマンソン・ファミリーによる連続殺人事件を題材にした作品であることが発表された。

最も著名な被害者、女優のシャロン・テート役にはマーゴット・ロビーが検討されており、他にはジェニファー・ローレンス、ブラッド・ピット、そして常連のサミュエル・L・ジャクソンの出演が噂されている。

タランティーノは物議をかもすことで有名な監督だ。劇画調の暴力描写と人種に関する際どい表現が満載の作品の数々は、自慰的なファンタジーでありながら、映画として素晴らしい完成度を誇ってきた。

セックスカルト教団の殺人ヒッピーたち。ビートルズやザ・ビーチ・ボーイズとの関わり。ハリウッド女優の残忍な殺害。まさに事実はフィクションより奇なりを地で行くマンソン・ファミリーの犯罪は、あのタランティーノですら考えつかないほどにグロテスクな要素に満ちている。同時に、暴力とポップカルチャーに彩られたその筋書きは、タランティーノ作品のために書かれたかのようでもある。

妊娠8ヶ月の女性がメッタ刺しにされた実際の悲劇を、スタイリッシュな残虐描写で知られるタランティーノはどのように映画化するのか。物語の内容は明らかになっていないが、タランティーノが過去にも歴史上の出来事を血みどろのスプラッター劇に仕立て上げてきたことを考えると、筆者は一抹の不安がよぎる。

「イングロリアス・バスターズ」ではヒトラーが映画館で射殺される場面を、「ジャンゴ 繋がれざる者」では元奴隷が農場主を殺す場面を描いたタランティーノ。両作品はそれぞれ、第二次世界大戦の生存者や黒人奴隷の子孫に対して冒涜的な一面があったものの、映画としては傑作だった。

アートは論争を起こすことを怖れるべきではないし、タランティーノが現代を代表するアーティストの一人であることは疑う余地がない。とはいえ、超えてはいけない一線がある。彼の最近の作品を見る限り、タランティーノのそのことに関する自覚はすり減りつつある印象を受ける。

筆者が怖れているのは、次回作が「キル・ビル」のような復讐劇になることだ。死の淵から蘇ったシャロン・テートが犯人たちを一人また一人と追い詰め、最終的にマンソンの額に日本刀で鉤十字を刻むような話であれば笑えない。次回作が完全に向こう側に行ってしまわないことを祈るばかりだ。

編集=海田恭子

 

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