日本の不動産最前線


2014年に遡ると、熊谷組が施工を担当、住友不動産が2003年に分譲した「パークスクエア三ツ沢公園」で、支持層への杭の打ち込みが足りなかったことが発覚。また、鹿島建設が施工、三菱地所レジデンスが販売を担当した、東京の一等地・南青山の億ションでも工事の不具合が発覚し、引き渡し間近にもかかわらず急遽販売を中止する大騒動となった。

どれも大手デベロッパーと大手建設会社がタッグを組んで手掛けた物件ばかりだが、それでも居住できなくなるほどの大きな欠陥が生じることがあるとなると、「大手=安心」とはいえないことがわかるだろう。

ただし、中小デベロッパーと大手デベロッパーが大きく違うのは、こうした大問題が発覚した際に、大手は手厚く補償してくれる場合が多いという点だ。

例えば、前出の「パークシティLaLa横浜」では、住民に対し、全棟の建て替え費用、仮住まいの家賃や引っ越し代から家具の処分代、通勤・通学費の差額など全部ひっくるめて負担することに加え、希望者には新築価格で買い取りすることを発表。さらに慰謝料も支払うとした。

住民はファミリー世帯が多く、子どもの学校の関係などもあり、多大な迷惑を被ることにはなるものの、業者が提示している条件を呑んだ場合、経済的な損失を負うことはほとんどない。「パークシティLaLa横浜」の建設会社や下請け会社などがこの件の対応に割く支出は、立替費用だけで300億円を超える。

ここまでの手厚さは業界でも異例と言っていいほどだが、先に挙げた事例では、いずれも多額の補償金が用意された。いくら大手と言えど多額の補償は痛手だが、培ってきたブランドイメージが大幅に毀損されないようにするためには、必要な出費だったのだろう。もちろん所有者の粘り強い交渉あってのことだ。

これが中小デベロッパーの物件だった場合、そこまで補償を受けられるほどの資金的体力は期待できないことから、欠陥マンションの住民は満足な補償も受けられないままに立ち退きを余儀なくされ、二重ローンに苦しめられることになりかねない。このような事態に陥るようなことは考えたくないものの、いざというときは大手のほうが安心感はあるとは言える。

文=長嶋 修

PICK UP

あなたにおすすめ

合わせて読みたい