中国政府「子供のゲーム規制」徹底へ 顔認証システムの導入も

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顔認証によるIDチェック導入の可能性

厳しい方針を打ち出している中国政府だが、取り締まりは進んでいないと、上海に拠点を置く調査会社86 ResearchのアナリストCharlie Daiは指摘する。未成年者がネット上で成人の偽IDカードを購入し規制をすり抜けることは簡単だという。例えばアリババのECサイト「タオバオ」を検索すると、「王者栄耀」の規制をバイパスするサービスが10~80元(約165~1300円)で提供されている。

中国政府は実名登録の徹底を図るだろうとアナリストは見ている。企業に顔認証技術を導入させてプレーヤーの顔とIDカードの写真を照合させるような対策の導入を求める可能性もある。「王者栄耀」のプレーヤーの20~30%は18歳以下であり「今後テンセントのゲーム運営コストは大幅に上昇することになる」とDaiは指摘する。

さらに親が子供をゲームからログオフさせる機能が求められることも考えられる。小学生がゲーム内で購入できる上限金額を設定させる可能性もあると、英国の調査企業IHS MarkitのアナリストのCui Chenyuは言う。

こういった対策は他のアジア諸国ですでに導入されている。例えば韓国では16歳以下は深夜12時になるとオンラインゲームから自動的にログオフさせられる。

同国では2013年、ギャンブルや麻薬と同じような規制をゲームにも適用することが検討された。これはゲームの是非についての議論を呼び、実施には至らなかったが翌年にはオンラインポーカーなどの賭博ゲームにおいて、プレイ時間や金額に上限を設ける対策が導入された。

西欧諸国ではそういった規制はないが、ゲームをプレイする子供10人に1人が依存症になっているという調査結果が、2009年にアメリカで報告されている。米国精神医学会は、ゲーム依存を正式に依存と認めるにはさらなる臨床研究が必要だとしている。

中国に必要なのは推奨年齢やコンテンツの内容を評価するシステムだとZhuは指摘する。中国には西欧諸国と違い、子供向けではないゲームやアプリが分かるようなESRBやPEGIなどの認証システムがないため、「王者栄耀」のようなゲームを誰もがプレイすることが可能だ。

「テンセントのような大企業が対策において先陣を切るべきだ」とZhuは言う。「そして政府はすべての企業で規制が順守されるよう努力するべきだ」

編集=上田裕資

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