豊田章男社長が「現役ラリードライバー」にこだわる理由

2013年はシリーズにフル参戦した豊田章男社長。この頃世界ラリー選手権復帰を決断したのだろう


海外メーカーの首脳は自ら運転するのはもちろん、モータースポーツに参加する人も多い。トヨタIQとアストンマーティンのドッキングはニュルブルクリンクのレースで豊田社長とアストンの社長が意気投合して誕生したクルマだ。

日本の自動車メーカーの社長はといえば、自ら運転する人はまれ。ホンダの福井前社長が学生時代ラリーをやり、社長時代もシャコタンのCR-Vに乗っていた(普段は運転禁止だったらしい)ことや相川前三菱自動車社長が社長就任前にランサーEVOに乗っていたことくらいしか知らないが、トヨタにはなかなか面白い伝統がある。

かつての大御所、奥田元会長は「役員全員、アリストを買って、高速道路を飛ばしてます」(CMコピーは〝世界最速セダン″だった)と開けっ広げな発言をするなど、役員も自ら運転する風土のある会社だ。

果たして安倍首相はクルマを運転できるのか? 自動車大国、日本の政治家も運転くらいしてもらいたいものだ。

全社挙げてのラリー参加によって、トヨタのクルマが実際に変わるのはまだ先ことだろうが、クルマ作りの意識は変わってきていることだろう。社員のスキルアップがトヨタの今後にプラスになることを期待する。

ラリー参戦2年目の頃、「もう、『モータースポーツなんかやって……』と言われなくなりました」と嬉しそうに語った豊田社長は、今年6月に走ったTGR第4戦でも大人気でした。ラリーを通じた最高の宣伝マンでもある。

編集=勝股 優

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