ボーカスはまた、現在の米中関係が比較的良好であると述べ、中国進出を狙う米国企業へのアドバイスや、中国の企業がいかにして米国市場に参入すべきかを語った。
ボーカスがスピーチを行ったのは上海で2000名以上を集めたフィンテックのカンファレンス、LendItの場でのこと。スピーカーとしてブロックチェーンの権威として知られるアレックス・タプスコット(Alex Tapscott)や、中国の政府職員やアリババ傘下のアントフィナンシャルのメンバーも参加した。
ボーカスは元民主党の上院議員。駐中国アメリカ大使として3年間、中国で過ごした後、ドナルド・トランプ政権の誕生と同時に離任した。カンファレンスで彼は中国での暮らしを非常に楽しんだと語り、「中国の人々は未来について、アメリカ人よりもずっと前向きに考えている」と述べた。
さらに、中国人たちの楽天的な姿勢がフィンテック分野のイノベーションを促進していると分析し「中国は決済分野のテクノロジーで米国やその他の先進国を抜き去り、現金やクレジットカードを過去のものにしようとしている」と述べた。
「米国ではアップルペイが、ようやく受け入れられつつあるが、普及のスピードはかなり遅い。新たな決済システムの普及の遅れは、中国やその他のアジア諸国と競争する上で不利な結果を招く。なぜなら既存の銀行やクレジットカード会社の機能は、近い将来、中国やアジアで生み出された新たなテクノロジーに置き換えられてしまうからだ」
フィンテック分野の進化は特に、個人事業主らに大きなメリットを与え、個人でのビジネスをこれまでより容易にするとボーカスは述べた。また、フィンテックの隆盛ぶりを褒め称える一方でボーカスは、中国政府が米国企業の中国進出を食い止める動きに出ていることを批判した。今年のダボス会議で中国は自由貿易の推進を打ち出したが、実際はそれとは逆の事が起きているという。
それでもなお、ボーカスによると今の米中関係は貿易や投資、旅行者の行き来の面を考えるとかなり良好だという。ボーカスは中国進出を狙う米国企業らを励ますと同時に、米国進出を望む中国企業らに対してもエールを送った。