AI分野で最注目のスタートアップ「Clarifai」創業者、30歳の野望

「Clarifai」創業者のマシュー・ズィーラー(Photo by Mike Coppola / gettyimages)


評価額は約130億円

2015年になりClarifaiはユニオン・スクエア・ベンチャーズの主導で1000万ドルを調達。出資元にはクアルコムやエヌビディア、さらに興味深いことにグーグル傘下のVCも加わった。その翌年、Menlo Venturesが主導する調達ラウンドでさらに3000万ドルを調達。当時の評価額は1億2000万ドル(約136億円)だった。

「テック業界の巨大企業らも同じ試みを行っている。しかし、彼らにとって最高の画像認識技術を生み出すことは、生きるか死ぬかの問題ではない」と、Menlo Venturesの関係者は述べる。

Clarifaiは現在55名を雇用している。昨年はグーグルの企業セールス部門の社員を引き抜き、営業部の主任ポジションに就けた。調査企業CapTechのデータによるとClarifaiは画像認識分野でアマゾンやグーグル、マイクロソフトと拮抗し、時に上回る実績をあげている。しかし、AI分野で今後の拡大を見据え、スタートアップが人材をつなぎとめるのは容易なことではない。

今年2月、Clarifaiはグーグルで長年、AI部門の研究者を務めたAndrea Fromeを招き入れた。しかし、わずか4ヶ月でFromeは離職した。ズィーラーはこの件に関し、多くを語らないが、優先すべき課題に関する意見の不一致があった事は認めた。Clarifaiが直面している課題の一つは、アルゴリズムを鍛えるために必要なビッグデータへのアクセスの確保であり、この点で同社は大手企業に遅れをとっている。

Clarifaiが直近で力を注ぐのは大手が注力するクラウドのデータではなく、スマートフォンをベースとした画像のAI解析だ。先日のフォーブスの取材当日、サンフランシスコのホテルのロビーでズィーラーは画面が割れたiPhone 6を手に「この端末のカメラは周囲にある全ての物体を認識できる。室内の家具や道路のクルマや歩行者等を全てデータとして取得する」と述べた。

ディープラーニングを人々が肌身離さず携帯するスマートフォンから広げていこうというズィーラーの情熱には注目すべきものがある。「自分たちが今やっている事は、今後AIが果たすべき仕事の氷山の一角に過ぎない」とズィーラーは話した。

編集=上田裕資

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