ビジネス

2017.07.17 15:00

ドナルド・ブランドを担う、世界各国の不動産王たち

フセイン・サジワニ(左)、ジュー・キム・ティア(中央上)、アビシェク・ロドハ(中央下)、ロビー・アントニオ(右)


不動産でも政治でもトランプ家と“特別な関係”
ロビー・アントニオ/フィリピン
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アルマーニがデザインした渋いグレーと青を基調とするミニマリスト的なインテリア─。ここは、アントニオ家が手がける高層マンションのモデルルームだ。

ロビー・アントニオの父ホセがセンチュリー・プロパティーズを創業したのは、31年前のこと。それからフィリピンの経済は急成長し、その需要に応えるべく、センチュリーは豪華なマンションやオフィスビルを次々と建設し、年間売上高が2億3000万ドルに達するまでになった。

同社は、フィリピン初のコンドミニアムや超高級タワーのグラマシー・レジデンスのほか、パリス・ヒルトンのデザインによるビーチクラブを備えた人工ビーチまで手がけている。
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アルマーニやミッソーニ、ヴェルサーチといった欧米の高級ブランドと提携するというのが、センチュリーのやり方である。そして今、首都マニラでオープン間近なのが、息子のロビーが手がけるトランプ・タワーだ。これは57階建ての高層ビルで、投資額は1億5000万ドルにおよぶ。

「トランプとの経験は非常にポジティブなものでした」とロビーは話す。その“経験”の大半はトランプの子供たち、つまりイヴァンカ、エリック、ドナルド・ジュニアと築いた友人関係だ。

そして今、アントニオ家とトランプ家の関係が新たな展開を迎えている。2016年10月13日、過激な麻薬取り締まりで悪名高いフィリピン大統領のロドリゴ・ドゥテルテが、アメリカとのビジネスや貿易を促進するための特使に、ホセ・アントニオを指名したのだ。

それもそのはず、「トランプのアメリカ」とのビジネス関係を強化する役割に、トランプ・タワーを手がける実業家ほどふさわしい人材は見つからないだろう。

“金ピカ”が大人気のインドでトランプ物件を手がける御曹司
アビシェク・ロドハ/インド

トランプが大統領選挙に勝利した昨年11月。2週間も経たないうちに外国から彼のもとを訪れたのは、1番目が日本の安倍晋三首相、そして2番目がインドにおける不動産のパートナーたちだった。カルペシュ・メータ、そしてアトゥールとサガーのチョルディア兄弟だ。

メータは、ムンバイでトランプのパートナーを探す役割を担う。トランプ・オーガニゼーションは通常、1つの国で複数のパートナーと手を結ぶことはないが、インドは例外だ。現時点で、トランプは5件のライセンス契約を交わしており、そのうち2件は今年中に着工する計画だ。

最初のトランプ・ブランドのプロジェクトを担ったのが、チョルディア兄弟だった。2人は、「フォーブス アジア」が特集したインドで最も裕福な100人にランクインしたこともある。彼らは、IT産業のハブ都市として急成長中のプネーで、23階建ての高層ビルを2棟建てた。

そして、現在建設中のムンバイ初のトランプ・タワーを手がけるのが、チョルディア家と同じく政界との結びつきが深いロドハ家だ。

「この国では、トランプという名の認知度が高いので、ぴったりだと考えました」とアビシェク・ロドハは話す。同氏は、このプロジェクトを手がけるデベロッパーを経営しており、インドの不動産長者の息子でもある。
 
完成は18年末の予定で、375戸の住戸数を誇る75階建ての高層ビルになる。正面玄関には金色のガラスとメッシュを使用するという。理由は、「インド人は金ピカが大好き」だからだ。

「トランプが手がける仕事には、どこか壮麗さがあるのです」と、ロドハは称賛を惜しまない。

text by Brian Solomon, Dan Alexander, Abram Brown, Naazneen Karmali

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