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2017.07.16

10年間で興収1.3兆円 映画会社マーベルがヒット作連発の理由

米国でヒット中の「スパイダーマン:ホームカミング」(Photo by Anthony Harvey/Getty Images)


16作品で1兆3600億円の売上

しかし業界は、現マーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギの才能を見くびっていたと言わざるを得ない。同社が他社と共同製作した作品で共同プロデューサーや製作総指揮を務めてきたファイギは、名門の南カリフォルニア大学映画学部出身。ファイギのアクションにユーモアとペーソスを絶妙なバランスで配合する作風や、原作コミックに忠実でありながら原作に馴染みがない観客にも物語世界に入りやすく見せる術は、映画ファンの心を掴んだ。

ロバート・ダウニー・Jr、クリス・プラットといった個性的な俳優のキャスティングや、ジョン・ファヴロー、ジェームズ・ガン、ルッソ兄弟などの才能ある監督や脚本家の起用も功を奏した。

これらの積み重ねにより、現在までに公開されている全16本の“マーベル・シネマティック・ユニバース”作品のうち4本は、全世界興行収入10億ドル(約1130億円)以上の大ヒットを記録している(「アベンジャーズ」、「アイアンマン3」、「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」、「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」)。「スパイダーマン:ホームカミング」も近いうちにこのリストに加わるだろう)。

マーベル・スタジオが16作品から得た収益は総額120億ドル(約1兆3600億円)に上る。近年、大ヒットした他社のシリーズに目を向けると、全8作品からなる「ハリー・ポッター」シリーズの興行収入は77億ドル(約8730億円)、全6作品の「ロード・オブ・ザ・リング」と「ホビット」シリーズは58億ドル(約6580億円)、全8作品の「ワイルド・スピード」シリーズは51億ドル(約5780億円)を稼ぎ出している。

マーベル・スタジオは今後も数多くの続編や新シリーズを製作する予定だ。快進撃はまだまだ続くだろう。

編集=海田恭子

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