イケアとスポティファイの国が生んだ新スター「ボルボS90」

写真=ボルボ・カーズ・ジャパン


その重厚感と高級感はインテリアにも通じる。上質なウッドとクリーム色のナッパレザーにアルミ調のアクセントは、まるでベントレーのようだ。というのも、 イギリス高級ブランドから迎えたスタイリストが室内を担当したと聞けば、醸し出すラグジュアリー感にも納得だ。まるで高級ヨットのラウンジに配された家具のようで温かみがある。

さらにはセンターコンソールのスイッチ類もまるで宝石みたいな仕上がりで、必要以上に触りたくなる。日本で750万円程のサルーンにはるかに勝るルックスと雰囲気だと言えるだろう。ただ、欧米ではおよそ650万からの価格だが、なぜか日本では1割高い価格設定になっている。

車内エンターテイメントの点でも、S90はトップクラスと言っていい。19のスピーカーはバウワース アンド ウィルキンス(Bowers & Wilkins)の高級サウンドシステム。12.3インチと大型ディスプレーはハンドルの奥に置かれていて、ドライバーから届きやすい。

とはいえ、ボルボといえば安全性だ。S90で特筆すべきは独自のセミオート・ドライブ・アシスト機能で、僕が試乗したときもブレーキ、加速、レインキープをスムーズに補助してくれた。ボルボ車らしく先進安全装備も充実。ムースも感知できる世界初の大型動物検知機能などを含む、15以上の運転支援システムが標準装備される。これは世界一安全な高級車と言える。

強いて短所を挙げれば、その車長5m、車幅1.88mという大きさだろうか。日本の道路事情ではちょっと取り回しづらい場合もあるだろう。それでも、S90は、デザインが美しく、パワーも充分、安全性能にも優れ、高級感にあふれている。ハンドリングもパフォーマンスもよく、何よりもコストパフォ−マンスが高い。

今やこのセグメントの新しきリーダーと呼ぶに相応しい“美しい王子”に変身したボルボは、堂々とドイツのビッグ3に手袋を投げて、闘いを挑んでいる。

文=ピーター・ライオン

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