著名なアップルウォッチャーであるジョン・グルーバー(John Gruber)は、次のようにツイートしている。
「インダクティブ充電器はiPhone 8とは別売になり、当初よりも遅れてiOS11.1に合わせて発売されるようだ(昨年のポートレートモードのように)」
iPhone 8は、7Sと7S Plusと合わせて9月にリリースされることが予想されている。通常であれば、7Sファミリーは発表イベント後2-3週間で店頭に並ぶことになるが、最新のリーク情報によると、iPhone 8はそれよりも遅れそうだという。今回のグルーバーのツイートが事実であれば、ファンの不満はさらに増すことになりそうだ。
アップルが端末を充電器から数フィート以内に置くだけで充電できる遠距離ワイヤレス充電を採用するとの噂が年初に広まったが、グルーバーは「インダクティブ充電」と明言している。インダクティブ充電は充電ベースのコイルと端末側のコイルを数ミリメートルの距離に近づけることで充電を行う仕組み。Galaxy S8などのAndroid端末や、Mophie社製iPhone用バッテリーケース、「チャージフォース(ChargeForce)」などで採用されている。
インダクティブ充電器の発売が遅れるというグルーバーの指摘から、アップルが独自のエコシステム構築を目指している可能性がうかがえる。アップルがQiのような既存の充電方式を採用するのであれば、自前の充電器の発売が遅れても、市販の充電器で対応できるはずだ。
iOSの大幅アップデートを待たないとインダクティブ充電が使えないということであれば、アップルが既存システムに微調整を入れ、自社のエコシステムにユーザーをロックインさせようとしていることが考えられる。iPhone 8でワイヤレス充電を利用するにはアップル製の充電ベースか、「Made for iPhone」を取得したアップル認証アクセサリを購入するしかないということになる。
アップル側としては、この方がコントロールを効かせることができ、収益面でもプラスに働く。ただ、Android端末などに既に搭載されている技術であるため、発表イベントで「アップルならではのワイヤレス充電方式」などと宣伝することはしないだろう。「独自開発」と言えば聞こえは良いが、今回の噂が事実であれば、自社のメリットを優先させ、消費者目線が欠如しているようにも思える。