ドナルド・トランプ・ジュニアはこれに飛びついた。本人が11日にツイッターで公開した一連のメールによると、「それが本当なら素晴らしい」と返信していた。
この後、彼はメールの中で「ロシア政府の弁護士」とされた女性とニューヨークで面会。だが「本人も公言しているように、彼女は政府の役人ではなかった。また既に説明した通り、彼女は提供できる情報を持っていなかった」と、ツイッターに発表した声明で説明している。
しかし、メールの差出人であるロブ・ゴールドストーンは、ロシア政府とロシア人ビジネスパートナーの両方が関わっていたことを明言していた。メールには「これはもちろん非常に高レベルの極秘情報で、トランプを支持するロシア政府の活動の一環だ。アラスとエミンも協力している」とある。
では、面会を仲介したとされるアラスとエミンとは一体どのような人物なのか?
アラス・アガラロフ(61)は不動産業を営むロシア人で、保有資産は推定19億ドル(約2200億円)。旧ソ連の崩壊直前の1989年に不動産会社クロッカス・グループを設立した。
ロシア政府とのつながりが深い同社は、政府関連機関から複数の契約を受けており、2018年FIFAワールドカップで使用予定のスタジアムの建設計画では総合建設請負業者に指名された。
同社はモスクワのクロッカス・シティ・モールをはじめとする高額資産をロシア各地で数十件所有している。アラガロフは2013年、ウラジーミル・プーチン大統領から名誉勲章を授与された。
アガラロフとトランプの関係は、変わった形で始まった。アラスの息子でポップ歌手のエミンは2月にフォーブスが行った単独インタビューで、自身の音楽ビデオの出演者として「世界で最も美しい女性を探す」ためにミス・ユニバースの運営組織に接触したと述べている。
トランプ大統領は当時、ミス・ユニバース運営組織を所有していた。エミンはミス・ユニバースの役員と面会後、さらに大きな野望を抱いた。同コンテストのロシア招致だ。