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2017.07.13 17:00

身売り撤回のアバクロ、オムニチャネル化に重点

Northfoto / Shutterstock.com

米衣料大手アバクロンビー&フィッチ(A&F)の株価は7月10日、一時21%下落した。業績の低迷を受けて身売りを検討中であることが今年5月に明らかになっていたが、買い手候補との交渉打ち切りを発表したことが原因だ。
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同社は投資会社サーベラス・キャピタル・マネジメントと組んだアメリカン・イーグルなど、複数の企業と協議を続けてきた。だが、いずれの交渉相手とも条件について折り合いがつかず、自力での再建を目指すことを決めたという。

自主再建の実現について同社は、自ら打ち出す事業計画を「厳密に遂行」していくことだとしている。具体的には、どのような計画を立てているのだろうか。

「ホリスター」とネット販売に重点
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A&Fは起死回生をかけ、さまざまな策を講じてきた。それでもその大半は、目立った効果を上げていない。ただ、姉妹ブランドのホリスター(Hollister)については、一定の成功を収めたと見ることができそうだ。同社に関して打ち出した戦略は、小売業界全体が直面する困難な状況の中でも、業績の改善につながった。

A&Fは2016年度(2017年1月末まで)中に、プロトタイプとして新たなフォーマットをホリスターの店舗65か所に導入。これらが前向きな評価を受けているという。また、米国内で開始した新たなロイヤル・ティプログラムも順調だ。2つのイニシアチブが好調なことから、今後はこれらをアバクロ・ブランドにも導入していく考えだ。

同社がもう1つ重視しているのが、電子商取引部門。今年第1四半期の売上高のうち、27%は同部門での販売によるものとなっている。また、米国とカナダ、英国ではすでにネット通販各社との提携によるオムニチャネル化を実現しており、今年末までには東南アジアと欧州の両地域でも、ネット小売業者との提携を進める計画だ。これらを通じて、売上高とマージンの引き上げを狙う。

同社はそのほか、不採算店舗の閉鎖を進め、店舗網の基盤強化を実現する方針だ。理論上は、利益の出ない店舗の閉鎖によって既存店の売上高は増加に転じるはずだが、これまでのところ、アバクロ・ブランドにそうした効果は出ていない。同社が今後、同ブランドの存続に向けて効果的な手を打つことができるのかどうか、現時点では不明だ。

業績不振の要因

衣料小売業界はここ数年、ショッピングモールや実店舗に足を運ぶ消費者の大幅な減少によって打撃を受けてきた。特に10代の若者向け衣料を扱う各社には影響が大きかった。

H&Mやザラなどのファストファッション・ブランドの人気が高まったことも、各社にさらに追い打ちをかけた。数週間で商品を入れ替え、常に新商品が並ぶこれらのブランドは、業界全体に新たな脅威をもたらしてきた。

編集=木内涼子

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