このデータは調査企業Spoke IntelligenceとIoTに注力したメディアのReadWriteが発表したリポート「IoT Revolution handbook」の一部。北米のIoT企業2888社のうち、2748社が米国に、140社がカナダに本拠を置いている。
IoT技術によって、あらゆるモノがセンシング(測定)や自己制御を行ったり、人間がより効率的に管理して環境に大きな変化を与えることが可能になる。IoT分野で企業が最も可能性を見出しているのが、以下の5つの分野だ。
・AI・機械学習
・コネクテッドホーム
・ヘルスケア
・AR/VR
・データセキュリティ
AI・機械学習はIoT機器やセンサーからもたらされるビッグデータを解析し、迅速な意思決定を行う上で欠かせない技術で、この分野の企業が最も多い。コネクテッドホームは自宅を遠隔から監視したり、管理することを可能にする技術だ。
ヘルスケアは巨大市場であり、成功すれば大きな収益が見込める。AR/VR市場は、大手企業からスタートアップまで様々な企業が参入している。現在はエンターテイメント向けが主流を占めるが、将来的には他の領域での活用が期待される。また、IoT時代のセキュリティ対策は大きなビジネスチャンスであり、データセキュリティ分野への投資額は71億ドルに達する。
IoTボットネットの「Mirai」や、マルウェアの「Persirai」などによる攻撃は大きな被害をもたらした。Persiraiのターゲットとなったネットワークカメラは10万台に上った。
IoTの歴史は意外と古く、GoogleトレンドにIoTという言葉が最初に登場したのは2004年のことだ。その後、2013年以降から普及が進んで2015年に一気に市場が拡大し、2016年も引き続き大きな成長を遂げた。南カリフォルニア大学のJulie Albright教授は「米国人の3分の2はIoT機器を所有している」と述べている。
IoTが本当の価値を発揮するのはこれから
しかし、IoTに対する過度な期待が先行したものの、実際の価値がまだ生み出されていないことから、IoTはハイプサイクルにおける「幻滅期」に差し掛かったと考える人もいる。これに対し、専門家はIoTがようやく真の価値を創出し始めていると指摘する。
「IoTを活用してお金を節約できることを示せば、消費者を突き動かすことができる。あとは、エンドユーザー、買い手、売り手の3者にメリットのある製品を開発することだ。こうした製品が次々と登場してきている」とベンチャーキャピタルComet LabsのMike McCormickは話す。
アナリストのScott Raynovichも同意見だ。
「IoTは5つの異なる市場から成っている。コンシューマ向けIoTは、コネクテッドカーを除けば普及のスピードが遅い。産業向けIoTには、テレメトリーやエネルギーオートメーションをはじめ多くの分野があるが、これらはゆっくりとだが確実に普及している」とRaynovichは話す。
今回の調査「IoT Revolution」のフルバージョンは、7月11日にサンフランシスコで開催される「IoT Revolution Summit」で発表される。ebook版も公開されている。