ビジネス

2017.07.12 18:00

ティファニーが抱える「本当の問題」とは何なのか


記事によると、ティファニーの売上高の全体に電子商取引が占める割合は、6%程度。つまり、ティファニーは売り上げの多くを店舗の従業員たちに依存している。ブランドの「本物」の経験を顧客に提供する役割を担うのも、こうした従業員たちだ。

だが、ティファニーの投資対効果に関する調査を行ったあるコンサルタントは店舗での買い物経験について、「期待を大きく裏切るものだ」と述べている。

「従業員たちは失望しており、自分たちの価値を実感できずにいる。顧客エンゲージメントに関する研修も十分には行われておらず、こうした大きな問題を改善するためのプロセスも一部店舗に導入されているだけで、ブランド全体では共有されていない」

富裕層の消費行動や高級品の市場調査を専門とする筆者が自著のために行った調査では、現在の小売業においてより大きく成功の鍵を握るのは、「何を売るか」よりも「どのように売るか」だ。ティファニーの苦境が続くのは、この点に問題があるためだ。

新CEOが目指すべきもの

新CEOはまず、ティファニー・ブランドの「本物の経験」は単に商品を入れる箱の色に反映されているのではないことを理解する必要があるだろう。「ティファニーブルー」はブランドの象徴にすぎず、その本質ではない。そして、低価格帯の商品は次世代のティファニー愛好家を生み出すための道筋を描くものだということを認識する必要がある。

最も重要な点は、ティファニーの店に足を一歩踏み入れた瞬間から、その人が本物の高級ブランドである「ティファニーでの経験」を感じ取れるようにすることだ。

ティファニーは、オードリー・ヘップバーンが演じたホリー・ゴライトリーが持った「あの店ならひどく悪いことなど何も起こりそうにない」という感覚を(消費者の間に)取り戻さなくてはならない。残念ながら、現時点でティファニーについてそう感じている人はほとんどいない。

編集=木内涼子

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