特に批判の矛先が向けられたのは、前最高経営責任者(CEO)のフレデリック・キュメナルだ。2011年に同職に就く以前は仏モエ・ヘネシー・ルイヴィトン(LVMH)でワイン・蒸留酒部門を率いていたキュメナルのリーダーシップの下、それまで「平等な雰囲気」が特徴だったティファニーには、「ピラミッド型」の組織構造が導入された。
組織の機能不全は、もちろん批判されるべき点だ。だが、世界各地でビジネスを行うティファニーのような大企業が、こうした組織構造を取り入れることは必ずしも悪いことではない。暫定CEOとしてキュメナルの後を引き継いだマイケル・コワルスキーも、これらの決断を支持しているもようだ。
問題は「売り方」にある
ティファニーが直面している問題は、経営陣ではなくブランディングとカスタマーサービスにある。WSJの記事は、低価格帯の商品がティファニーの売上高の45%程度を占めることに対して批判的だ。だが、価格を下げたスターリングシルバー製では、ティファニーが持つ本物の「高級」のイメージを十分に伝えることができないのだろうか?
ティファニーは低コストで提供できる商品を軽視するのではなく、それが「本物」として表現するものを大切にするべきだ。それは、今の時点では「高級宝飾品」を購入することができなくても、明日にはできるようになるかもしれない次世代の顧客となる消費者を捉えるための方法だ。
また、新商品の発売までの期間が長いことも、売り上げが伸び悩む大きな原因として批判されるべき点ではない。どれほど素晴らしい商品を置いても、現代の消費者たちは、ありきたりのサービスや自分が関心を持てないサービスしか提供しない店には、足を踏み入れてみようとしないのだ。
一方、約310か所のティファニーの店舗では、従業員と消費者の「関与」が不足している点が指摘されている。