nuTonomyは米国のボストンでウーバーの競合のLyftやフランスのプジョーと、テストプログラムを行った後、昨年からシンガポールで自動運転タクシーの公開テストを開始した。同社のこれまでの資金調達額はわずか2000万ドル(約23億円)だが、nuTonomyの共同創業者でCEOを務めるKarl Iagnemmaは「現時点で重要なのはカネではなく、技術的ノウハウや正しい戦略的パートナーシップを結んでいくことだ」と述べている。
フォーブスはnuTonomyが実現したテクノロジーと今後の課題についてIagnemmaに尋ねた。
──自動運転分野では過去2年で大幅な進歩がありました。現在の状況をどのように捉えていますか?
初期の自動運転は単純に「ドライバー無しで移動できる車の開発」だった。我々が目指すのはその次のステージの「ソフトウェアの力で快適な移動が可能になる社会」の実現だ。さらに、その技術を一つの都市だけでなく、世界の各都市に適用可能にしていくことが重要だ。
特定の都市だけで運用可能な技術を開発しても、さほど魅力的なものとは言えない。スケーラビリティのあるテクノロジーを生むことにこそ、チャレンジする意味がある。車の運転は都市ごとに非常に異なった環境に直面する。標識も違うし、適用されるルールも異なる。グローバルに広げていくためには課題は多い。各都市の特性に合わせた進化を果たす必要があると考えている。交通に関する規制だけでなく文化的要因も重要だ。
──世界の自動運転テクノロジー分野の覇権は誰が握ると見ていますか?
一つの企業がこの分野のリーダーになるとは思えない。自動運転分野は非常に巨大なマーケットであり、グローバルなものだ。地域ごとに異なった特徴があり、市場の特性に応じ様々な企業が台頭してくると予測する。
最初に注目を浴びるのは北米市場を制圧したグループになるだろう。しかし、北米市場を握ったとしてもそのテクノロジーがアジアで覇権を握れるかどうかは怪しい。アジア地域では、アジアの事情に通じたグループが業界を主導するポジションに就く。