ジョージ・マスは北米で2万人以上の従業員を抱えるMasTechの会長で共同創業者。マスはキューバからの移民で、MasTechはヒスパニック系のオーナーが代表を務める企業としては全米で2番目の規模を誇っている。マスはキューバの民主化を支援する財団、Cuban American National Foundationの設立者としても知られている。
マーリンズの売却に関してはこれまで、様々な買収先候補が浮上していたが、そこにマスが「ミステリアスな第3者」として加わったことは6月23日に、地元紙のマイアミヘラルドが伝えていた。
マーリンズ買収に関しては一時、元フロリダ州知事のジェブ・ブッシュと元ニューヨークヤンキーズの主将のデレク・ジーターのコンビが有力視されたが資金が用意できないため入札への参加をとりやめていた。その後、6月中旬になり、共和党重鎮のミット・ロムニーの息子タッグ・ロムニーがパートナーを務める投資会社のSolamere Capitalが有力候補として浮上した。しかし、ロムニーらも資金を用意することが出来ず、交渉は不調に終わったとマイアミヘラルド紙は伝えていた。
マーリンズは1993年の創設で2002年に現在オーナーのジェフリー・ローリアが1億5800万ドルで買収した。マーリンズ傘下にはメジャー30球団が出資して設立した動画配信部門、MLBアドバンスト・メディア(MLBAM)があり、買収に向けては30球団の合意を得る必要もあるが、ジョージ・マスは独自で資金を用意することが可能で、成立の可能性は高いと関係筋は述べている。
マーリンズは今シーズン約7000万ドルの損失を生み出すと見られており、負債も4億ドルに上っている。フォーブスは今年4月時点でマーリンズのチーム価値を9億4000ドル(約1073億円)と試算していた。今回の買収に関し、正式なアナウンスはまだなされておらず、マスが交渉から離脱する可能性もある。しかし、マスは既にかなりの額をデポジットとして支払い済みであると伝えられている。ローリアが10億ドル以上の価格で球団売却を目指す中で、最後の望みの綱となったのがマスと言えそうだ。
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