この動きの背後には、中国政府が海外への資金流出に神経を尖らせている事があげられる。政府はワンダや中国海南航空(HNA)グループ、復星集団(フォースングループ)ら3社の海外での買収活動の調査を開始したとの報道が先日流れたばかりだ。
ワンダは同社のホテル事業を融創中国控股に49億ドルで売却。さらに、テーマパーク事業の91%を44億ドルで売却し、負債の相殺に充てるという。ワンダによると売却の完了後も、事業はワンダのブランド名のもとで継続されるという。
融創中国控股を率いるSun Hongbinは、中国のインターネット企業Le.com(楽視網)への出資者としても知られている。
今回の発表を受け、香港市場に上場するワンダグループ傘下のWanda Hotel Developmentの株価は46%の急上昇を遂げた。ワンダと融創中国控股の2社は今後、映画事業でも提携を進めていくという。
ワンダは2016年にハリウッドの映画制作会社レジェンダリー・エンターテインメントを35億ドルで買収。また、世界最大の映画館チェーンの一つとして知られる米国のAMCも2012年にその傘下に収めている。
ワンダの王健林はここ数年「中国一の富豪」としてその名を轟かせてきたが、今年5月に3位のポジションに沈んだ。フォーブスのリアルタイム・ビリオネア・ランキングのデータでは現在、中国で1位の富豪はアリババのジャック・マーで資産額は340億ドル(約3.9兆円)。2位はテンセントのポニー・マーで資産額は310億ドル。3位の王健林の資産額は約300億ドルと算定されている。