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電通総研内のクリエイティブシンクタンクによる連載「NEW CONCEPT採集」


ビジネスの世界では、No Rating(人事評価の廃止)にシフトが進んでいる。

人事評価において点数をつけることをやめる動きは、すでにトップ企業の半数に迫る勢いだ。

日本企業がお手本にしてきたGEの人事制度の代名詞となっていたのは、「業績結果×バリュー発揮」の2軸をそれぞれ3段階に分けた9ブロックの評価方法だが、これをGE自身が取りやめた。9段階の格付けで有名だったゴールドマン・サックスも、数値での評価を廃止。マイクロソフトが個人能力評価からチームパフォーマンス重視にシフトしたこともニュースになった。

もちろん、やめたらうまくいくというほど簡単なものではない。変化への対応においては、数値的基準による意思決定が生むチャンスロスは決して小さくないと、大企業の多くが考え始めているということだろう。

僕たちが、評価社会で生きることは、簡単には避けられない。いまだに、アワード審査においてその道の権威が重用されている業界も多い。一部の専門ジャーナリズムの評論がユーザーの選択の多様性を奪っているケースもあるだろう。言語や文化の交錯するグローバル経済のなかでは、財務評価が経営における優先指標になるのも必然だ。

もちろんそれらは、平等性や公正さのうえで正しい。厳しい制約や審査によって生まれる強いアウトプットもたくさんあるし、審美眼に鍛えられて成長し、安心や信頼を培う技芸や製品・サービスもある。

一方で、その道に詳しいプロたちには、常識や当たり前という名の思い込みが存在する。

それは、経験の豊かさゆえに生まれる澱(おり)として僕らの足元に静かに堆積する。だから、時には足元をかき回して、評価から解放されよう。人材だけでなく、世相やデザインやプロダクトやサービス、そしてそのアイデアそのものを生み出す際にも、まずはアクションを起こす、形にしてみる、世に問うてみる。そんな挑戦を、日々のアウトプット作業のどこかに取り入れてみてはどうだろう。


森口哲平◎2002年電通入社。経営層のプレゼンサポートを行う「Team CUE」をサービス化。3年前より、企業のR&D・事業部門とともにサービスデザインを推進するチーム、XDSを立ち上げる。

文=森口哲平

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