ソフトバンク、中国企業と提携で「教育ロボット」事業本格化

中国深センで5月14日に開催されたメイクブロックのイベントの模様。

7月6日、ソフトバンクコマース&サービス株式会社は、中国深センの教育ロボット企業、メイクブロック(Makeblock)と共同記者発表を開催。教育用ドローン「Airblock」を日本市場向けに投入することを発表した。メイクブロックは昨年末からソフトバンクと提携し、教育ロボットのmBotシリーズの販売を開始していた。

2013年設立のメイクブロックの従業員数は約450名。今年3月には中国最大のベンチャーキャピタル、創新投資集団とEvolution Media Chinaが主導するシリーズBラウンドで、3000万ドル(約34億円)を調達し、海外展開の加速を宣言していた。メイクブロックは今回の記者発表で日本支社の設立を宣言。東京の秋葉原にオフィスを構え、日本市場の開拓を本格化させていく。

現在31歳のCEO、王建軍(Jasen Wang)が率いるメイクブロックは、米国で始まり中国深センで独自の発達を遂げた個人が自由にモノづくりを行う「メイカームーブメント」をルーツとする企業。「モノづくりのハードルを下げ、誰もが自分のアイデアを実現できるプラットフォームを作りたい」という王の思いが、全ての製品に流れている。

メイクブロックは中国人が設立したハードウェア分野のスタートアップとしては初めて、キックスターターでの資金調達に成功した企業としても知られ、2012年末に出品した初期モデルは翌年夏までに約20万ドルの調達に成功した。現状で同社の売上の7割を海外売上が占めており、フランスでは6000を超える公立学校でプログラミング教材としてメイクブロックの製品が導入されている。

今回の記者発表は7月14日から日本での販売が開始されるメイクブロックのドローン製品「Airblock」(参考標準価格:2万2000円)の発売を控えてのもの。Airblockはモジュール式のブロックで構成され、様々な形状に組み替えが可能。また、離着陸や旋回、宙返りなどの動作をプログラミングしておくことで、自動操縦で飛行させることも可能。

7月14日から国内販売開始の「Airblock」。

メイクブロックの製品はアプリからドラッグ&ドロップ等の簡単な操作で、プログラミングが行える点も特徴。ソフトバンクコマース&サービスは「ロボットを活用したプログラミング教育を通じて、親子で楽しく学ぶ環境を提供していく」としている。

政府の閣議決定で、小学校でのプログラミング教育の必修化が2020年に予定されるなか、注目が高まるのが「知育ロボット」の分野。メイクブロックの製品は世界で2万以上の教育機関で採用され、STEMロボット(STEMは科学、技術、工学、数学の頭文字)分野を代表するプロダクトとして知られている。

ソフトバンクコマース&サービスは今後、メイクブロック製品の体験イベントを全国で開催の予定。Airblockを教材とした小学生向けドローンプログラミング講座も今夏に実施を予定している。

文=上田裕資

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