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 R&Bといえば、ひと昔前は、 アフリカ系アメリカ人のブルースに根ざした音楽を指したが、現在のそれは大きく違っている。例えば2001年、飛行機事故によってわずか22歳で夭折したアメリカのシンガー、アリーヤが欧米の音楽シーンでは大きなひとつの起点になっている。

 「ポスト・アリーヤ」の座を目指して、多くの女性シンガーが野心的な作品を発表しているわけだが、アリーヤの革新性とは、 ソウル歌手のジェイミー・ウォーン『ゴッデス』 ARTIST_バンクス LABEL_Harvest / Universalアリーサ・フランクリンのようにアメリカのアフリカンコミュニティを代弁したわけもなければ、ニーナ・シモンのように古きアメリカの報われな かった魂の伝承に基づくわけでもな かった。彼女の 1996年のセカンド アルバム『ワン・イン・ア・ミリオン』 は、機械によるユニークな打ち込みを全面に打ち出した作品として記憶されている。この作品で彼女が起用したプロデューサー、ティンバランドは、その後ミッシー・エリオットの作品などを通して一世を風靡することになるが、重要なことは、何を歌っているかというよりも、どれほど奇抜で、いかに革新的なビートをもっているかだ。好むと好まざるとに関わらず、それがモダンR&Bの特徴となった。前号で紹介したUKのFKAツィッグスも、そうした「アリーヤ以降」「ティンバランド以降」を代表するひとり。そして、2014年の秋にメジャーのハーヴェストからデビューアルバム『ゴッデス』をリリースした、アメリカ西海岸出身のシンガー、バンクス(ジリアン・バンクス)もそのひとりだ。

 つまり、バンクスのバックトラックは最先端であり、ファッショナブルなのだ。ナイト・スラッグスというクラブ系のレーベルから作品を出しているリル・シヴァ、2 年前にユニバーサルからアルバム『トラブル』 を発表したトータリー・イノーマス・ エクスティンクト・ダイナソーズ、売れっ子のティム・アンダーソンやソウル歌手のジェイミー・ウォーン等、アルバムでは最新サウンドの作り手が彼女をサポートしているが、プロデューサーのほとんどがUK人脈。このあたりにもモダンR&Bの特徴が見受けられる。もはや、このジャンルはアメリカだけのものではない。

 バンクスの音楽はメランコリックだがロマンティックで、いかにもUKの味付けが入ったトリップ・ホップ風。とにかく洒落ていて、シャーデーを彷彿させるかもしれない。が、これは「現在」のポップだ。ラナ・デル・レイの成功にひと役買って、リアーナの名曲バラード「ステイ」のアレンジを手がけているジャスティン・パーカーもこのデビューアルバムに手を貸している。そう、今日のポップ業界の才能を惜しみなく動員している作品なのである。

 昔ながらのアリーサ・フランクリンの時代のR&Bを愛するリスナーには、モダンR&Bのハイプをよく思っていない人が少なくない。また、このジャンルの開発者であるアフリカ系アメリカ人からは、メロウなラブソングを歌っていればR&Bなのかという皮肉も聞かれる。しかし、今日の現象の元がどこにあるのか、いま一度思い出してほしい。金のない大学生が刺激的なダンス・トラックを作るとき、ソウル・ヴォーカルを入れたくても、歌手を雇えないのでサンプリングするしかなかった。が、デビュー時のジェイムス・ブレイクのように、ここ数年でそうしたサンプリング・ソウルがメジャーヒットするようになった。当然、この流れに本物のシンガーが加わるようになる。

 最近U Kの人気レーベルからデヴビューアルバムを出したばかりのエイティーン・プラスは、ネットで自分たちのR&Bを発表し続けて、話題になった2人組だが、出身はアメリカの西海岸である

真野幸夫

 

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