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デザイナー/アーティストの吉岡徳仁(photograph by Mitsuya T-Max Sada)

毎年4月に開催されるデザインとデザインの祭典、ミラノサローネ。参加デザイナーは、会期が始まっても取材やミーティングに追いかけられる。ましてやデザイン界が注目する人物ともなれば、ファンからの握手攻めと記念撮影まで加わるのだから、気の休まる時間はない。

吉岡徳仁は間違いなく世界で最も多忙なデザイナーのひとりであるが、今回は幸運にも単独インタビューを行う機会に恵まれた。

「今回のミラノサローネでは、4つのプロジェクトを発表します。最大規模になるのはLGとのインスタレーション。“S.F(Senses of the Future)”をテーマにしており、LGのOLEDという技術を使って光を表現しました。グラス・イタリアと組んで行ったエキシビション『Glass Fountain』は、店舗デザインも担当したヨーロッパ初となるISSEY MIYAKEのミラノブティックに展示しました。

プロダクトは2作品。カルテル『MatrixChair』は、3Dインジェクションという新技術を使ってアクリル樹脂の椅子を作りました。そしてルイ・ヴィトンのインテリアコレクション『ノマド・オブジェ』からは、『Blossom Stool』という椅子を発表しています」

規模もコンセプトも全く異なるプロジェクトを成功に導いた吉岡。しかしなぜ彼の元には、世界中の超一流クライアントから多くのオファーが届くのだろうか?

「自分なりの表現を持った、オンリーワンの存在だからではないでしょうか。オンリーワンの人間だけが、オンリーワンである企業のトップと互角の仕事ができると考えています。企業のトップと直接ミーティングすれば、何をやりたいのかという明確なビジョンを共有できる。彼らは誰もが自分なりの美意識を持っているし、それがビジネスに直結することを理解している。だからお互いに妥協をする必要もありません」

例えば今回のLGとのインスタレーションでは、OLEDを使ったデジタルサイネージの技術が使われている。しかし吉岡の理想を実現させるためには、ディスプレイを2枚張り合わせ、しかも薄く仕上げる必要があった。既存の技術では解決できないレベルの話だが、明確なビジョンを伝えることでクライアントを説得し、新しい技術を開発させることで繊細で美しい椅子を作ることができた。

カルテルの「Matrix Chair」も、デザイン段階では実現は不可能とされながら、技術開発に2 年かけて理想のフォルムを追求し続けた。どちらも吉岡の明確なビジョンが企業を動かした結果、技術レベルをさらに上へと押し上げたのだ。

その素材と表現への探求心から、かつては海外メディアから“マテリアル・ボーイ”と称されたこともある吉岡だが、ルイ・ヴィトンの「BlossomStool」では、初めてウッドとレザーという普遍的な素材を使って作品を制作している。


(左)ルイ・ヴィトン「Blossom Stool」は、木材ならではの曲線美とレザー特有の上質さを融合させた。同デザインのゴールド仕様も作られている。(右)カルテル「Matrix Chair」は、シェル部分の構造美を楽しむ椅子。

「木も革も生き物ですから、大切に使える家具に使用したかった。既存の素材であっても、表現の方法によって全く新しい見せ方ができる。だから私はいつでも新しい表現を探しています」

取材日の夜、Milano Design Awardにて、吉岡が手掛けたLGとのインスタレーションが最高賞を受賞したとのニュースが入った。1300以上の出展からノミネートされた40作品の中で、最も優秀な作品に贈られるというこの賞を獲得したことで、彼の名声はさらに高まることだろう。妥協なきクリエイションが、彼を“オンリーワン”たらしめているのである。


吉岡徳仁◎デザイナー、アーティスト。1967年、佐賀県生まれ。2000年に吉岡徳仁デザイン事務所を設立。アートやデザイン、建築など幅広いジャンルで活動。代表作である紙の椅子「Honey-pop」など数多くの作品が、世界中の美術館の永久所蔵品となっている。カルティエやレクサスなど、世界的なブランドとのプロジェクトも手掛ける。

edit&text by Tetsuo Shinoda

 

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