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2017.07.07

中国・広州で今注目すべき2つのもの

Sean Pavone / shutterstock.com

中国・広州市は今、北京や上海、香港をはじめとする国内やアジア地域のその他のライバル都市を追い抜き、新たに世界規模の都市として世界に名乗りを上げようと躍起になっているのかもしれない。

広州では現在、世界最速のスピードで昇降するエレベーターの速度試験が行われている。市内に建設中の超高層ビルに設置されるもので、すでに時速75.6kmを計測しているという。

さらに、人口およそ1400万人の同市は5月末、市内を走る合計約3万台の公共バスとタクシーを全て、電気自動車に切り替えるという野心的な計画を発表した。2020年までの実現を目指す。

中国の重要な自動車製造の中心地の一つである広州にとって、公共交通機関にクリーンエネルギーを採用することは、将来の同産業の繁栄に向けた実験としての役割も果たすことになるだろう。

同市はすでに、電気自動車の価格や充電料金の値下げ、メンテナンスコストの引き下げなどにより、個人による購入を推進するための計画も打ち出している。公共駐車場やショッピングモール、オフィスビルなどに10万か所の充電スポットを設置するという。同市内を走る個人所有の電気自動車は、2020年には1万2000台に達しているとの予測もある。

環境対策にも注力

北京や上海は数年前からすでに、段階的に公共バスを電気自動車またはハイブリッド車に移行し始めている。この点では広州は、すでに出遅れているといえるかもしれない。だが、大気汚染対策において同市は、国家中心都市に指定されている5都市(北京、天津、上海、重慶)に含まれるその他の都市をリードしている。

大気汚染は国内の主要都市の大半において大きな問題となっており、中国全体で見ても、公衆衛生上の最大の懸念事項となっている。大気中の微小粒子状物質(PM2.5)は、吸い込めば血液中に侵入して健康に害を及ぼす。

そのPM2.5濃度は、大気汚染の程度を測定する基準として世界的に使用されている。広州では2012~16年の間に42%低下した。同市当局のデータによると、2016年には国が定める基準値を達成。青空が見られた日数は、310日を記録した。また、大気中の二酸化硫黄の平均濃度は84%低下したという。

一方、ドイツのシンクタンク、メルカトル中国研究センター(MERICS)によると、同じ5年間に北京のPM2.5濃度は22%低下した。約2100万人が暮らす都市としては、著しい進歩だ。だが、専門家によれば大気汚染が同市の公衆衛生にもたらすリスクは依然として高く、そのリスクの高さから考えれば、改善のペースはまだまだ遅いという。

それに比べ、徐々にではあることの状況に改善が見られる広州の大気汚染状況は、ドイツ・ベルリンのような欧米の都市に匹敵するレベルに近付いてきているという。

編集=木内涼子

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