Tモールでは既に数千ものブランドが出店しており、海外企業らのTモールグローバルへの出品は昨年169%の増加を記録した。しかし、上海のコンサルティング企業China Skinny経営者のMark TannerによるとTモールの総売上の伸びは30%に留まっているという。
「Tモールグローバルの現状を見ると、需要に対して供給が過剰になっている」とTannerは指摘した。
アリババはその一方、米国以外の市場で明るい兆しを見出している。アリババは出資先のラザダや、アリエクスプレスを通じて、中国製品の新たな販売先を確保しようとしている。ラザダ内にオープンしたタオバオのモールでは、中国製のアパレルやガジェットが販売され、220億ドルとも言われる東南アジア市場にアリババは乗り込もうとしている。
東南アジアは中国から見ると輸送コスト面でも非常に理想的なマーケットと言える。また、この動きは中国政府が掲げる「一帯一路」政策とも合致する。
しかし、この動きも決してスムーズとは言えない。ジャック・マーは“アリババ版のWTO”とも言える「世界電子商取引プラットフォーム(eWTP)」の立ち上げを宣言したが、1年が経った今も参加国はマレーシアの一国のみというのが現状だ。
今のところアリババにとって海外での売上はさほど大きなものではない。昨年のアリババの売上のうち、海外売上の比率は10%にも満たなかった。しかし、アリババ社長のMichael Evansは「グローバル化は順調に進んでおり、今後の10年で海外売上比率が40%になる」と述べている。
アナリストの中からは「アリババがEコマースだけで世界的覇権を確立するのは難しいとの」との見方もあがる。Eコマース以外で成長が見込めるのが、同じくグローバル化を進行中の決済サービスやエンタメ事業、さらにはクラウド事業だ。
アリクラウド(AliCloud)はアマゾンのAWSより85%も安い価格で海外ユーザーを獲得しようとしている。また、アントフィナンシャルのアリペイは米国でFirst Data と提携することにより、数百万軒の米国の小売店での導入を進めようとしている。