ネット上の暴言でキャリアを失わないために

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人間には、人の過ちを許すだけの深い心がある。私たちにとって「許し」は救いだ。過ちを犯さない人間はいない。人を許すことができなければ、私たちは行き場を失うだろう。しかし、人はうそに対してはそれほど寛容ではない。うそは信頼を壊すからだ。

ウォーターゲート事件は、ニクソン元大統領が民主党本部への不法侵入に実際に関与したかどうかよりも、事実を隠していたことが問題視された。もし元大統領が真実をもっと早く述べていたら、選挙での地滑り的勝利で手にした大統領職としての任期を満了できていたかもしれない。しかし彼は、任期途中で辞任した米国史上初の大統領となってしまった。

クリントン元大統領の不倫騒動があれほど人々の怒りを買ったのはなぜだろう? それは、元大統領が記者会見で「ルインスキーさんとの性的関係はなかった」とうそをついたからだ。もし彼が真実を述べていたら弾劾されていただろうか? 私はそうは思わない。

私も時々、サービスの劣悪な店への悪口をネット上に書き込みたくなる。しかしチューの解雇は、最悪な衝動に任せた行動の危うさを示す教訓となった。

私は最近フォーブスに寄稿したコラムで、マーク・ザッカーバーグが成功するリーダーであり続ける秘訣(ひけつ)の一つとして説明責任を挙げた。特に私が注目したのは、自分が行動する前にその行動がもたらす結果を慎重に考える彼の姿勢だ。フェイスブック上で彼の悪意に満ちた投稿を見たことがないのはそのためだ。彼はそのような投稿はしないのだ。

チューは謝罪声明の中で説明責任に触れた。嫌な経験をした時の気持ちをそのまま表に吐き出すことで何が起きるかについて考えを巡らすことは、責任あるリーダーに必要な要素だ。チューはそれを見過ごしたことで、大きな代償を支払った。この誤りから彼女自身、そして読者の皆さんや私が、教訓を得られることを願う。

編集=遠藤宗生

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