ダイバーズウォッチは、長い時計の歴史にあって、比較的新しい機能である。といっても、約半世紀も前に開発されたものではあるが。その機能の大半を懐中時計の時代、すなわち1世紀以上も前に完成させている時計の世界においては、50年というのはかなり新しい機能となるのである。
最初のダイバーズウォッチは、防水時計の第一人者でもあったロレックスが1953年に発表した「サブマリーナー」だといわれている。100mという高い防水性能と回転ベゼルを備えた画期的なモデルで、そのデザインや機能は、その後のダイバーズウォッチの基準を決める際の指標となっている。
では、普通の防水時計とダイバーズウォッチの違いはどこにあるのだろうか?
防水時計は大きく2つに区分される。ひとつは日常生活での汗や、洗濯の時の水滴、雨などに耐えられるもの。もうひとつが水泳やダイビングなど、水中での使用が可能なものである。そして、前者が一般的な防水時計であり、後者がダイバーズウォッチと呼ばれる腕時計ということになる。
このダイバーズウォッチは、ISO(国際標準化機構)やJIS(日本工業規格)に定められた基準をパスしなければ認められないモデルである。それは、有しなければならない機能が、防水性能だけでなく、耐久性、耐磁性、耐衝撃性、耐温度衝撃性など、多岐にわたるからだ。
防水性能は、少なくとも100mの潜水に耐え、その1.25倍の水圧に耐える耐水性を有し、さらに潜水時間を管理する機能を持っていること。耐久性においては、ブレスレット、ストラップを締めた状態で200ニュートンの引っぱり応力に耐え、さらに部品が外れたり、ズレたりしないこと、などなど。ダイバーズウォッチは、それぞれの項目で要求される、レベルの高い要求をクリアしたものだけに与えられる名称なのである。
ともすれば人命にも関わってくる水中での使用なので、その性格上、当然のことなのだが、水圧というものは、一般的に思われているよりもずっと強力なものでもある。たとえば、ダイバーズ以外で、50m、30mという防水性能が記載されているモデルがあるが、そのあたりの防水性能では、水泳などで着用した場合、まず壊れると思っていいだろう。
堅牢であることから武骨なイメージがあるダイバーズウォッチだが、近年はとても進化しており、薄くスタイリッシュなモデルが増えている。強いということは、日常生活において、最も安心して着けられる腕時計ということでもある。それが格好よくなっているのだから、ここ数年、その人気はますます高まっている。
ROLEX / オイスター パーペチュアル シードゥエラー
「サブマリーナー」のあとに、その性能を超えるダイバーズウォッチとして1967年に深海調査会社コメックスの協力を経て開発された。防水性能はちょうど2000ft(610m)。[自動巻き、SSケース、43mm径 1,090,000円 問:日本ロレックス 03-3216-5671]
BLANCPAIN / フィフティ ファゾムズ オートマティック
60年の歴史を持つブランパンの看板モデルのひとつ。オリジナルに近づけるべく、6時位置に水密性表示ディスクを備え、ケース径をやや小振りに仕上げている。300m防水。[自動巻き、SSケース、40.3㎜径 1,390,000円 問:ブランパン ブティック銀座 03-6254-7233]