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2017.07.01

インディーズ音楽家支援のTuneCore「売上10億ドル」間もなく達成へ

人気アーティストのチャンス・ザ・ラッパーもTuneCoreを利用している。(Photo by Kris Connor/Getty Images)

自分で作った楽曲を、世界中のデジタル配信ストアで販売できる音楽ディストリビューションサービス「TuneCore(チューンコア)」の累計売上が10億ドルに達しようとしている。

5月末時点で、TuneCoreに登録したアーティストらが生み出した売上の累計は9億2000万ドルに到達した。TuneCoreは今年10月に10億ドル(約1100億円)突破を目指し「Billion Dollar Club」と名付けたキャンペーンを開始した。これは期間限定で、無料でシングル楽曲がアップロードできるキャンペーン。配信対象は世界160のデジタルストアで、スポティファイやアップルミュージック、Tidal等の有力プラットフォームも含まれている。

TuneCoreのCEO、スコット・アッカーマンは声明で「売上10億ドルの達成は、どんなミュージシャンでも、インディペンデントで活動しつつ成功できることを示している」と述べた。

TuneCoreの最大の利点は、アーティストらに売上の100%が還元される点。配信ストアの手数料を除いた金額を全てアーティストに戻している。TuneCoreは200万人の登録ユーザーを抱え、楽曲の配信にあたってユーザーから年間手数料を徴収し収益をあげている。このビジネスモデルはアーティストらの著作権とロイヤリティを100%保証し、全ての音楽家たちにとって魅力的なものと言える。


有名アーティストもTuneCoreを利用


チャンス・ザ・ラッパーのような有名アーティストもTuneCoreを利用しており、レコードレーベルに所属せず成功を収める新世代のミュージシャンを象徴する存在となった。ストリーミング配信が急成長する中で、極めて低いコストで楽曲を配信することが可能になり、アーティストらに音楽で生計を立てるチャンスが広がっている。

IFPI(国際レコード・ビデオ製作者連盟)のデータによると、2016年の世界の音楽産業の売上の50%はデジタルからだった。ストリーミングからミュージシャンが受け取る金額のシェアはわずかなものだが、世界規模で24時間アクセス可能なスポティファイやアップルミュージックは莫大な利益を生み出すことになった。

TuneCoreで人生を変えるほどのロイヤリティを受け取れるアーティストはごく限られてはいるが、同社は独自の音楽出版社を通じ楽曲がTVや映画、ゲームなど様々な場で取り上げられる機会も与えている。さらに、ユーチューブ上でのコンテンツ収益化サービスも提供している。

2012年にスタートしたTuneCoreはこれまでデジタル音楽配信の最先端を突き進んできた。目前に迫った売上10億ドル突破についてCEOのアッカーマンは「これは全てアーティストたちの力が生んだものだ。彼らが稼いでくれたお金だ」と述べている。

編集=上田裕資

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