サンフランシスコ本拠のthredUPは6月27日、テキサス州サンマルコスにリアル店舗の1号店をオープンすると発表した。年内に他に4店舗を開設する計画で、2号店はカリフォルニア州の高級住宅街ウォールナットクリークに建設中であると、創業者でCEOのJames Reinhartがフォーブスの取材で語った。
Reinhartによると、1号店はアウトレットモールのTanger Outlet内に開設するという。「thredUpの顧客とアウトレットモールは相性が良い」とReinhartは述べた。一方でウォールナットクリークの店舗では、デザイナー物やハンドバッグ類を増やす計画だ。
thredUPは全店舗でテクノロジーを活用し、地域に合わせたアイテムを揃えるほか、店舗で購入した商品にプラスできるオンライン上のアイテムをリコメンドするという。
「今後もビジネスの大半を占めるのはオンラインと見ており、実店舗はオンラインでは購入しない人を対象にするため、成長戦略としては理にかなっている」とReinhartは言う。
thredUpは2009年にReinhartとChris Homer、Oliver Lubinによって創業され、当初は特に子供服に特化した古着のオンラインショップだった。創業以来急成長し、J.クルー、バナナ・リパブリック、マイケル・コース 、クラブモナコなどの大衆ブランドの古着を探している女性の間で人気を博すようになった。
ゴールドマンらから140億円を調達
この成長に寄与しているのが1億2500万ドル(約140億円)以上の調達資金で、出資元にはゴールドマン・サックスやHighland Capital Partners、Trinity Venturesなどがいる。thredUP の売上は2015年に1900万ドル(約21億円)に達し、フォーブスが「米国で最も将来有望な企業(America’s Most Promising Companies)」の1つに選んでいた。フォーブスの試算では2017年には売上が1億ドル(約112億円)に到達する見込みだ。
多くの古着店が売買を簡略化し、eBayに対抗するためにオンラインショップに進出を試みてきた。その中でも成功したのがデザイナーズ製品に特化したRealRealや、手持ちの洋服をすぐに出品できるPoshmarkなどだ。一方でeBayに買収されたTwiceや廃業したThreadflipなどもある。
thredUpの強みは、ユーザーが服の売却を手軽に行える点だ。服を売りたい人はサイトから専用キットを取り寄せ、それに服を詰めて送るだけで売却が出来る。手間をかけず、まとめて洋服を処分できる事でthredUpは支持を獲得した。
実店舗の開設はthredUpにとって大きな戦略転換だ。Reinhartによると、試着ができないためオンラインでは服を購入しない顧客のニーズに応える狙いもあるという。「あらゆるデータを駆使して人気のブランドやサイズを割り出している」とReinhartは語る。
1号店にはおよそ1万6000点のアイテムを置く。thredUPは全体で約100万点のアイテムを保有しており、この1号店が小規模な実験場となる。店舗内にはオンラインショップにアクセスできるようiPadを設置し、サイズが合わないが気に入った靴があれば、似たアイテムを検索できるようにする。「靴をiPadの前にかざすと、類似アイテムを検索してくれる仕組みだ」とReinhartは述べた。