テクノロジー

2017.06.30 07:00

テンセントvsアリババ 中国「モバイル決済戦争」の勝者は?

s4svisuals / shutterstock

中国のモバイル決済の2大巨頭として知られるのが、テンセントが運営するWeChatペイと、アリババが運営するアリペイだ。最近はWeChatペイに関する報道を多く目にするが、両社の戦いは今後どこに向かうのだろうか。

質問サイトQuoraに寄せられた疑問にアジアで豊富なビジネス経験を持つGlenn Lukが回答した。

結論から言うと中国ではWeChatペイとアリペイが共存する状態が続いていく。それは例えるなら、マスターカードとVISAカードが世界の市場で共存しているのと同じことと言える。

調査企業Analysysによると、2017年Q1の中国のモバイル決済市場において(決済ボリュームで)アリペイのシェアは約54%、WeChatペイは約40%だった。アリペイでの決済額の平均はWeChatペイを上回っており、決済件数だけを比較すると両社はほぼ互角となっている。

今から約3年前の時点ではアリペイがほぼ独占的なポジションを確立しており、市場シェアは80%以上に達していた。そして、潮目が変わったのが2014年だ。WeChatが同社のプラットフォーム上でユーザー同士が送り合うデジタルお年玉(hongbao)を導入し、瞬く間に支持を獲得。年内にWeChatペイのユーザー数はアリペイを上回ることになった。

アリペイもこれに対抗し、1年後に同様のデジタルお年玉機能を導入したが、WeChatペイを打ち負かすことは出来ず、現在の2強体制を生むこととなった。

現在の中国ではどこに行ってもモバイル決済が使えるのが当り前になっている。個人間のお金のやり取りに関しても、モバイル決済は完全に浸透しており、筆者はWeChatペイやアリペイが利用出来ないという人に出会ったことが無いほどだ。

「Eコマース」と「SNS」という2つの母体

2つの決済プラットフォームにはもちろん違いがある。アリババが運営するEコマースサイトのタオバオやTモールでは、WeChatペイは利用できない。中国のEコマース市場ではタオバオとTモールが最大勢力となっており、アリペイはモバイルEコマースの分野で大きなリードを確保している。

それと同時に、中国ではモバイル端末を所有する人のほぼ全員がWeChat を利用しており(その中でEコマースのアクティブユーザーは約半分)、WeChatペイのアクティブユーザー数はアリペイよりも2億人も多いのが実情だ。

しかし、アリペイは親会社のアントフィナンシャルを通じ、様々な個人向け金融サービスを提供し、WeChatペイに対抗しようとしている。

全体的に見て、筆者個人としてはアリペイとWeChatペイはほぼ互角の戦いぶりだと考えている。また、今後もどちらかの企業が市場を独占する状況にはならないと見ている。両社を脅かすような第3勢力が急激に力を増すような事も考えにくい。

アリペイとWeChatペイの戦いは、互いが機能を磨き上げる中で継続していくだろう。Eコマースを基盤とするアリペイとSNSを基盤とするWeChatペイは、それぞれの強みを活かした戦略を練っていくはずだ。

今後の2社のバトルの行方を筆者は次の2つの観点で注目している。

・アリペイはマスターカードに対するVISAカードのように、競合よりやや大きな存在であり続けられるのか。もしくは、WeChatペイがVISAのポジションを得るのか。

・中国以外で成功を収められるのはどちらの企業か。海外の中でも特に東南アジアが、2社にとって今後の重要拠点となる事は間違いない。

(情報開示:2017年5月末現在、筆者は個人及び自身が運営するファンドを通じ、アリババとテンセントの2社の株式を保有している)

編集=上田裕資

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