スポーツ専門ストリーミング「fuboTV」 累計調達額は60億円を突破

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fuboTVは現在の会員数を公表していないが、サービス開始から2年で10万人を突破している。業績はまだ赤字だが、ランレート(売上予測)は2000万ドルを突破する見込みだ。現在の収益源はサービス利用料のみだが、今年中にはロカール広告の配信を開始するという。会員の中には、スポーツ観戦が目的で加入しながら、「The Big Bang Theory」や「Billions」、「American Horror Story」、「Top Chef」などの人気番組も視聴するユーザーが多く、fuboTVとしては今後大きな広告収益が見込める。

人類の2分の1が「サッカー好き」という現実

サービス開始から数年で大きな成長を遂げた同社だが、ギャンドラーは今後の成長性については慎重な姿勢を崩さない。「我々は、カジュアルなスポーツファンをターゲットにしていない。fuboTVでは、4大ネットワークのうち、3社としてか契約をしていない。カジュアルなファンはHuluかSling TVを選ぶだろう」と彼は言う。

eMarketerのVernaは、エンターテイメント市場に参入すると、潤沢な資金を持つOTTサービスとの厳しい競争に晒されるため、ギャンドラーの目指すニッチ戦略は正しいと指摘する。一方で、「次のユーチューブやHulu、Sling TVになれるかは不明だ」と言い、将来の成長性には疑問を呈する。

fuboTVには、スポーツの領域でHuluやSling TVに負けている点がある。それは、ESPNを提供していないことだ。HuluやSling TVは、NFLやMLBの試合といったESPNのコンテンツを配信している。ギャンドラーによると、ESPNを加えるとfuboTVの料金がケーブルテレビよりも高くなってしまうのがネックだという。

「あらゆる番組を提供したいが、獲得できる数には限りがある」と彼は言う。現在、fuboTVはESPNやターナーと野球やバスケットボールのライブ中継を巡って交渉を行っているという。しかし、地球の人口の2人に1人がサッカーファンであることを考えると、交渉が不調に終わってもfuboTVにとっては大した損害にはならないだろう。

編集=上田裕資

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