ロボットが仕事を奪う「第5の波」 米国で1千万人が失業の可能性

Photo by Christophe Morin/IP3 / gettyimages

調査企業CB Insightsの最新データによると、AIやロボットの普及により1050万人の米国人が仕事を失う“ハイリスク群”とみなされるという。最もリスクが高いのは、食品加工業や調理に従事する人々だ。

ファストフード業界では既にロボットの導入が進み、機械がハンバーガーのパティをひっくり返すのも珍しいことではない。マクドナルドは年内に2500店舗にタッチスクリーンで注文が可能なデジタルキオスクを導入しようとしている。株主らはこのニュースを歓迎し、キオスク導入が報道された6月22日にマクドナルドの株価は一時、最高値をつけた。

「人件費の高騰がレストラン業界の収益を圧迫している。業界ではサービスやメニューのクオリティを落とさずに、いかにコストを下げるかが課題になっている」と元レストランチェーンのオーナーのAndy Puzderは語る。

一方で今回のCB InsightsのリポートはAIやロボットと労働者らが共存し、労働効率をアップさせ、人間がさらにハイレベルなタスクをこなす可能性も指摘している。

看護師や医療関係者らは、今回のリポートで比較的「ローリスク」な業種に分類されている。なぜなら彼らは、予測不可能な環境で広範囲な業務をこなしているからだという。

ただし、AIやロボットは患者の健康状態のモニタリングを行うことは可能で、Siriや Alexaのような音声アシスタントも医学的な質問に答えることができる。さらに、ロボットが患者のもとへ食事を運ぶことも可能になっている。

また、医療薬品の調剤の現場でも、薬剤を棚から選び出したり、数を数える、粉末を混ぜ合わせるといったシンプルなタスクはオートメーション化に向いていると言える。

それに加え、遠隔地とのビデオコミュニケーションを支援するDoubleRoboticsや Kubi、Beamといったデバイスの登場で、場所を問わず医師の診断が受けられるようになりつつある。

突き詰めて言えば、全ての人間の仕事は将来的に、ある程度はAIやロボットに奪われてしまうリスクがあるのだ。テスラや大手自動車メーカーらが自動運転車の開発にしのぎを削る中で、ドライバーという仕事は絶滅の危機に瀕している。

CB Insightsはこの流れを「第5の産業革命(the fifth industrial revolution)」という名前で呼んでいるが、この革命は人類に恐ろしい結果をもたらすのかもしれない。

編集=上田裕資

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