中国のLGBT関連市場(ピンクエコノミーと呼ばれる)は既に、米国の3分の1程度に達したとの予測もあり、中国社会がオープン化に進む中で、さらなる拡大が見込まれる。中国共産党は表立ってLGBTを支援する動きは見せていないが、ゲイカルチャーを禁ずる宗教が無い中国では、反政府的な動きに出ない限りLGBTムーブメントを抑圧する理由も無い。
中国の英字紙「チャイナ・デイリー」は中国のLGBT市場が、9170億ドルの米国や欧州に次いで世界第3位で、市場規模は年間3000億ドル(約33兆円)に達していると報道した。人口13億7000万人の中国のLGBTの人口規模は、いつか米国を上回ることも予測される。チャイナ・デイリーは現状の中国のLGBT人口を7000万人程度としている。
国連の調査では中国ではLGBTの人々のうち、わずか5%しか自身の性をオープンにしてないというが、既にこの市場に向けのビジネスは始動している。ゲイ向けのSNSアプリ「Blued」は2012年の立ち上げ以来、2700万人の利用者を獲得しこの分野では世界最大規模だが、ユーザーの大半は中国人だ。
上海本拠のLGBT向けのビジネスネットワーク企業WorkForLGBTは毎年、イベントを開催しており、昨年はスターバックスや、ブリティッシュペトロル、シティグループやロレアルも参加した。さらに、昨年は中国企業3社がスポンサーを務める、この分野のイノベーション会議(Pink Economy Innovation and Entrepreneurship Contest)も開催された。
この分野にはゲイ向けのマッチングを手がける企業や、ゲイのカップルに代理母を仲介する企業、ゲイのカップル向けの海外旅行を斡旋する企業などがある。
台湾の世新大学でジェンダーを専門とする教授、Shiau Hong-chiは、「従来のビジネスモデルを変えずに、LGBTの顧客を新たに取り込もうとしている企業も多い。中国のLGBT向け市場は巨大なポテンシャルを秘めている」と述べている。