インドの2017年度(4月1日~2018年3月31日)の経済成長率は、7.2%となる見通しだ。また、世界196か国・地域の経済関連データを提供するサイト「トレーディング・エコノミクス(Tradingeconomics.com)」によれば、同国の1951~2017年のGDP成長率は平均6.12%だった。特に、2010年第1四半期には過去最高となる11.40%の成長率を記録した。
インド経済は低インフレ率と低金利という安定したマクロ経済環境の恩恵を受けてきた。そのため、2016年11月の高額紙幣の使用中止の影響も一時的なものにとどまった。廃止された紙幣は、同国内で流通していた紙幣全体の86%を占めていたとされる。
さらに、国際競争力の向上を目指してインド政府が進める市場改革もまた、経済成長を後押ししている。世界経済フォーラム(WEF)が発表する世界競争力レポートの2016〜17年版では、インドの競争力は最高点を7としたスコアで4.52ポイントを獲得。わずかながら、過去10年間の平均である4.33ポイントを上回った。総合ランキングでも、138か国・地域中39位となっている。また、競争力の強化は経常収支の改善にもつながっている。2016年の経常赤字の対GDP比は、0.70%だった。
金融市場もこうした変化に注目しており、上場投資信託(ETF)のiシェアーズ・インディア50は過去12か月で株価が20.76%上昇した。ただし、それでも同国はETFを含めた値動きの点で隣国パキスタンに後れを取っている。その理由の一つとして挙げられるのは、ビジネス開発や政府支出など金融市場のパフォーマンスに多大な影響を及ぼす分野で、パキスタンの方により大きな前進が見られることだろう。