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ASIANEWS シンガポール支局長


──つまり、これは日本酒が目指す最高レベルの目標設定としての価格、と言うことですか?

中田:むしろ、ワイン市場を目標として市場システムを作っていくための値段設定です。そこにはディストリビューターに対しての利益も十分に作っていくことも重要だと思っています。

同時に、Nの卸先には一つの条件を出しています。それは、マイナス5度で保管できるセラーがあることです。日本酒の作り手が、こだわって作った上質な日本酒を海外に出したがらないのは、日本国内にマーケットが十分あるから、と言うだけでなく、その先、海外での温度管理に不安を持っているからです。

私自身も、日本酒セラーを開発し、これから販売する予定ですが、ちゃんとした管理施設を備えた海外の卸先が増えることによって、上質な日本酒の作り手も、安心して海外に商品を出せるようになるわけです。

最高級のフランスワインがフランスだけで消費されていたら、市場は広がりません。海外で消費されることが必要です。そして、世界で最高級のものが知られれば、その他の知らないものも試してみよう、と市場は考えるわけです。私はNという日本酒そのものを売っているのではなく、そういった市場の土壌を作っている、と思っています。

──なるほど。そのためにも、Nの日本酒としての魅力も大切かと思います。それについてもう少し教えてください。高木酒造で作っていますが、十四代とは全く違うものなのでしょうか?

中田:まず、Nは自分のブランドです。今回シンガポールでお披露目をした「十四代インターナショナル」は、十四代の個性を持った酒ですが、Nはそれに縛られません。

酒米や技術は十四代と同じですが、味の構築の考え方や世界感は、十四代とは全く違います。新しい挑戦をどんどんしていっています。ですので、毎年味の方向性も変わっています。

市場が成熟していくことが何よりも大切だと思っているので、新しく高度な技術を使い、その中で美味しくなる可能性のあることを試しています。日本酒業界の外にいるからこその気づきを提案していけるのは、自分が全ての責任を持って作っている、自分のブランドだからできることです。

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──日本酒の新しい美味しさ、可能性を世界に発信しようとされている中、Nとして目指す味の方向はどういったところでしょうか?

中田:ワインが今、日本の和食店のどこに行っても置いてあるように、「和食だけではなく、中華やフレンチにも合う日本酒」という概念を広げたい。白ワインと赤ワインの良さを併せ持ったような、しっかりとした味の魚や赤身の肉に合わせられる味を追求しています。

私は一年365日外食で、色々な料理を食べていますが、和食やフレンチというカテゴリーに関わらず、料理の味の構築というのは、基本的に変わらないと考えています。なぜなら、酸味、甘味、苦味など、人間の感じ取れる味には限界があり、料理とはそれをどういうバランス、レイヤーで感じさせるかがすべてだと思っているからです。

日本酒でも、例えば、最初甘みがあってから、酸味で切る、または、まず酸味があり、後に甘みでカバーする──どちらにしても、乗せる味の構成要素は同じですよね。

味の複雑性、順番として、普通の人が三層のレイヤーで作るところを、より多くかつ複雑なレイヤーで作れるかどうか。そういうところにセンスが現れると思っていますし、Nはそこを考えて作っているつもりです。

基本的な醸造の仕方は日本酒ではあるのですが、「日本酒」という既成概念で捉えて欲しくないので、ペアリングディナーの際には、一皿目はワインと、二皿目はNと…、というように、ワインやシャンパンと同じ感覚で合わせます。

構成=仲山今日子

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