自発的にその実験を開始したにもかかわらず、感じたのは別の服を着るべきだというプレッシャーだった。われわれの大半は、毎朝何を着るべきか考え、決めるように訓練されている。筆者も例外ではない。
だが、その1週間が経過しても、誰かが服について何か言うことはなかった。ほとんどの人は、それぞれ自分のことで手いっぱいだ。社会心理学者が呼ぶところの「スポットライト効果」を示すいい例だ。そして、この「沈黙」が筆者にもたらしたのは、「解放」だった。
ワードローブを最小限にしたい人、人生の「ユニフォーム」を見つけたい人、そしてただ消費を控えたいと思っている人に、この実験を試してみてほしい。お勧めしたい理由は、以下に挙げるとおりだ。
1. 「決断疲れ」を減らせる
決断することから逃れられる人はいない。どの選択肢も、われわれを疲れさせる。そして、より大きな結果を伴う決断はより大きなエネルギーを消費させる。小さなことに思えるかもしれないが、いつも着る服を決めておくことで、一日分の意思決定のためのエネルギーを温存しておける可能性が高まる。
2. 似合うものが分かる
同じ服には飽きてしまうだろうか?その服装は、本当に自分に似合っているのか?──実験中の1週間で、筆者は自分自身を試した。そして、どのような服が自分にとって最も重要なのかを認識することができた。
自分自身の「スタイル」を見つけるまでには、時間がかかるかもしれない。だが、何を着ていれば自信を持てるのか、快適でいられるのかを理解することは、自分に力を与えてくれる。
3. ワードローブを最小限に抑えられる
ミニマリズムとは、最も重要なことに焦点を絞り、それ以外を排除することだ。何にでも取り入れられる考え方だが、服については特にそうだといえる。
筆者は実験後、積極的にこの考え方を実践し、服を買い替えないよう努めてきた。すると少しずつ、自分にとって本当に大切なものになる服だけを選ぶようになっていった。服を選ぶときに、どれを着たいのか悩むこともなくなった。