4つの火山のむこうに昇る神々しい朝の太陽を拝み、別世界のような「砂の海」砂漠でのオフロード走行へ。しかし、現地の白バイの先導でBMWのSUV10台が隊列を組んで走るとは、なんともシュールな体験だった。
「警察が試乗会をエスコートするのか」って?
そう。パトカーのサイレンが唸り、青いライトを投射する3台の白バイに先導されて、僕たちは3日間、 同国東部のスラバヤを走行した。隊列を組んだのは、新型X3、X4、X5、X6のSUV。まるで国賓待遇のようだった。
どうして警察の先導が要るのか。まず人口300万を抱えるスラバヤには、数十万台のオートバイが走っているからだ。渋滞にはまらず日程をこなすには、警察の協力が必要となる。
しかもスラバヤは、この地方でも犯罪率が高い地域なので、最新の高級クロスオーバー車10台の隊列が狙われる可能性は決して低いとは言えない。そんな人生初の白バイ先導付きの試乗会という驚きと歓喜(興奮)が収まったところで、ふと、疑問が湧いてきた。
「実際、3台の白バイにくっついて10台並んで走って、果たしてちゃんとクルマの評価ができるのだろうか?」
しかし、1日目の午後にはそれが杞憂であることがわかった。参加した僕らジャーナリストは、みな警官に先導されて整然と、しかしかなりアグレッシブにテスト・ドライブを続けることができていた。
僕らの隊列が交差点に差しかかると、警官たちは僕らが走行する車線以外は全て塞いで交通を遮断する。 僕らが車線変更するとき、先の角を曲がるために一般の車両を追い越すとき、あるいはいきなり割り込んでくる原付を避けるために急ブレーキをかけるとき……白バイと路上に待機している警官が連携して交通を止めるのだ。
道路が何度か麻痺状態になったときに、白バイがいきなり反対車線に入って行った。「何をする気なんだ!?」とびっくりしたが、迫り来る対向車を路肩にどかしながら白バイが時速50km以上で先導してくれたお陰で、僕らは2キロ以上の渋滞を速やかに回避することができた。 その時は、優越感と申し訳なさが混ざった気持ちだったが。
結果的に僕らは、その時その時、新型BMW Xの各モデルのハンドリング、乗り心地、コンフォートを試していた。Xシリーズの各モデルが、どれも充分なパワーを持ち、乗り心地にも静粛性にも優れ、ステアリングの重さと手ごたえが適度でボディロールは予想以下だった。
そんな中、僕はX4 xDrive28iとX5が特に気に入った。現在人気のSUVの中でスポーティと言えるX4は、それ自体スポーティなX3をベースとしている。
しかし、240馬力22Lターボエンジンの速さは快感だ。シフトが素早い8速オートマチックとのマッチングがいい。ただし、サスがかなり固めで、コーナリング中では驚くほど安定していてボディロールが少ない反面、乗り心地のわずかな犠牲は否めない。あえて難点といえば、後部座席のヘッドルームとラゲージスペースが限られていることだ。