「英語が話せない」ウーバー運転手に罰金刑 米フロリダ州

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米フロリダ州マイアミのウーバーの運転手が「罰金250ドル」を宣告された。その理由はスペイン語を母国語とする彼女が、英語を話せなかったからだ。

事件は6月18日の日曜日にマイアミ国際空港で発生した。ウーバー運転手のCarmen Hechevarríaは乗客を空港で降ろすところだった。警備担当の警官が車両に近づき、話しかけたが会話は成立せず、マイアミの州法に違反した罪で彼女は罰金を言い渡された。

今から約1年前、マイアミでは旅客運送に関わる法律が改正され、英語でのコミュニケーションが運転者の必須条件と定められた。しかし、ウーバー側は地元紙のマイアミヘラルドの取材にこう述べた。「アプリを通じて経路の指示や支払い、乗客からのフィードバックは完結しており、英語が話せなくても問題はない」

ウーバーの広報担当者は「法律では“英語でのコミュニケーションが必須だ”との規定はある。しかし、“ドライバーが英語を話さなければならない”とは書いていない」と主張している。

ドライバーは今回の件で、「自分が人種差別の被害に遭った」とも述べている。ヘラルド紙によるとマイアミでは人口の73%が、自宅では英語以外の言語を話す人々だという。

今回の事件はウーバーだけでなく競合のリフトにも影響を及ぼしかねない。ウーバーは先日、英国でもドライバーの言語能力の問題に直面した。ロンドンではタクシードライバーに、120ワードの英文エッセイの提出が義務付けられている。ウーバーは同社の運転手らに関し、この課題の免除を申し出たが当局はこれを許さなかった。

マイアミの当局者によると、これまで約40名のドライバーが「英語の必須規定」を満たさず罰金命令を受けているという。しかし、マイアミの地元ルールは間もなくフロリダの州法が改正されるため、無効になる可能性が高いという。

7月1日から施行されるフロリダ州の法律には英語が必須だという条文は存在しない。Hechevarríaのケースは「運が悪かった」と考えるしかないのかもしれない。

編集=上田裕資

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