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世界37カ国、700万人が愛読する経済誌の日本版

LIFULLの井上高志 代表取締役社長(photograph by Toru Hiraiwa)

「日本のような成熟市場では、トップダウンでは中長期的に収益性を維持できません」。LIFULL(ライフル)CEOの井上高志は言う。上司の指示ではなく、社員が自分の意思でチャレンジをする─そんな会社が日本にもあった。

未来の変化に対応する「生物的組織」とは

「20世紀型の企業と、21世紀型の企業では、おそらく求められている要素が違うんです」

住宅・不動産情報サイトを企画運営するライフルの井上高志CEOに自社のエンゲージメントについて問うと、まず返ってきたのはこんな言葉だった。

「社内の施策も制度も、社員がそれぞれに持っている『これがやりたい』という内発的動機を強化し、支援することを最大の目標としています。採用においてもスキルよりも内発的動機を重視します。スキルはあとから身につけられても、企業文化とのミスマッチの修正は困難ですから」

不動産についての知識やIT技術といった、ライフルにとって即戦力となる「テクニカルスキル」ももちろん評価はするが、それよりも重視されるのはコミュニケーション力やロジカルシンキング、どの企業でも通用する「ポータブルスキル」だ。社員の紹介による中途採用、いわゆるリファラルリクルーティングに力を入れているのも、入社後のミスマッチを未然に防ぐためだという。

採用後の人事制度もユニークだ。ライフルには、標準的なキャリアパスも、会社から命じられるジョブローテーションも存在しない。社員は半年に1度「キャリアデザインシート」を作成し、中長期的なビジョンやそのために実現すべきステップを書き込む。ビジョンを実現するために部署異動を希望する社員がいれば、上司はそれを支援する──これは、同社が2008年から続けている「日本一働きたい会社プロジェクト」の成果として生まれた施策の一つだ。

「内発的動機が第1のレイヤーだとするならば、第2のレイヤーは挑戦と革新を続けさせること、そのための安心と安全を保証することにあります」

挑戦と革新の象徴となるのが新規事業提案制度「Switch」だ。応募資格は「社員と学生」で、契約社員はもちろん内定者も、外部の学生であっても応募できる。16年には高校生からも応募があったそうだ。事業立案のためのセミナーも実施し、入賞者は自ら事業化することもできる。Switchは「100の子会社と100名の経営者」の創出を掲げる同社にとって重要な役割を担っていて、実際に新卒入社から数年で、会社から出資を受けて子会社の社長になった社員もいるという。

「失敗してもチャレンジを褒め称え、再チャレンジを促す。そういう組織文化がだいぶ定着していると思いますね」

エンゲージメントは意思決定を遅らせるのか

組織文化の根底にはビジョンと、その共有がある。ライフルが掲げる社是は「利他主義」。このやや古めかしくも思える言葉は、井上が創業時に読んだ稲盛和夫の著書に影響を受けたものだ。

「『こんな立地は二度と出ませんよ』『今日中に手付金を打たないと間に合いませんよ』、そんな不動産業界特有のセールストークは誰もが耳にしたことがあると思いますが、その多くは情報を正確に伝えてはいません。つまり、売り手だけが情報を握り、買い手が何も知らないからこそ可能なテクニックなのです。情報の非対称性に依存した不動産業界を、データベースとインターネットの力で変革したくて始めた事業で、そうすることがお客様や良心的な事業者という『他』を『利』するはずだ、という確信は常にありました。しかし、創業時から社是として掲げていたわけではありません」

文=柳瀬 徹 写真=平岩 亨

 

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