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市長は「この動画が100万回再生されたら、本物の湯〜園地をつくる」と宣言。すると、たった3日で100万回を突破してしまい、市役所内では「できっこないよ」と、我関せずを決め込む職員すらいた。

「市長は『いいんじゃないですか』が口癖の、やってみなはれ型。クラウドファンディングで実現を目指すと公表したのです」(市の職員)

すると、「市長、大丈夫か?」と心配した市民たちの「別府愛」に火がついた。市役所のプロジェクトチームとは別に、市民の「裏チーム」が始動。目が覚めたのは市の職員たちで、他人事から自分事にしたのだ。いま、市長はこう言っているという。「バカみたいなことをみんなでワイワイやれば、このワクワク感を子どもたちに記憶してもらえる。それだけでも成功なんです」

鎌倉を盛り上げるために始まった「カマコン」と似た現象である。目標以上の一体感効果が、「攻めの運営」につながる。現在、寄付額は目標の3倍となる3000万円を突破しているという。

今回、票が集まった首長の共通点は、共鳴する参加者を生み出すのがうまいことだ。地域資源の売り出し方も、「ないものはない」と、逆境を逆手にとった島根県海士町は、漁師の賄い食「さざえカレー」を商品化。米軍基地がある横須賀市では、ドルで買い物ができる疑似海外体験を売りに「ドル旅」と銘打つなど、知恵の小気味よさが特徴である。

次に、地方議員の潮流として注目したいのは、デジタルネイティブと呼ばれる若い世代の動きだ。

「15年、春の統一地方選挙で、地方議会に20代議員が100人以上誕生しました。若い世代の特徴は、ITで情報を共有しながら、議会を飛び出して、民間と協働する人が多いことです」と、一般社団法人ユースデモクラシー推進機構の仁木崇嗣は言う。

この世代はITを駆使して共感する者を瞬時に集めるのが得意で、会社やNPOを立ち上げ、コトを動かしてきた経験をもつ人が目立つ。

福島県の南相馬市議・但野謙介は、1982年生まれ。2010年に市議に当選したが、その3カ月後に東日本大震災に見舞われた。但野が語る。

「被災地だからこそ見えてくる社会課題を、市議として政策に落とし込むことも多かったのですが、ビジネスの経験から、自分で組織を立ち上げて社会に出してみようというアイデアが生まれました」

3年前にスタートした一般社団法人「あすびと福島」もそのひとつ。ここが運営する南相馬ソーラー・アグリパークは、子どもから大人まで人材育成を行う。太陽光発電所で再生エネルギーを学んだり、「東北食べる通信」に影響を受けた高校生たちが独自の「食べる通信」を発行したり。企業の社員研修事業も行うが、研修の事業化には理由がある。

「相馬は日本の平均高齢化率を20年先取りしているうえ、震災で急激な変化があらわになっています。ここで成立する事業を企業が立案できれば、20年後の日本全体で通用する事業につながります」

都内の企業が利用し、売上げは年間約3000万円。これは前述の子どもたちの人材育成に使われる。

一方、和歌山県新宮市の市議・並河哲次は、古民家を再生し、日本初の「泊まれる図書館」を開設した。新宮市には世界遺産があり、宿泊する外国人観光客と図書館に来る子どもたちが触れあい、子どもたちの「海外体験」の場となっている。

文=フォーブスジャパン編集部

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