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フォーブス ジャパン編集部 エディター


導入・活用のポイントは「タイミング」


──大企業や地方の企業がスプリントを導入、活用する際に何か気をつけるべきポイントはありますか?

ジェイク:スプリントは月曜日、火曜日にあらゆるソリューションを検討し、水曜日にチームとして良い判断を下していく。そういう仕組みです。ハイテクなものは一切いりません。コンピューターをつけることなく、スプリントを実践できるのです。注意しなければいけないポイントはありません。

唯一、ユーザーテストをするときに、スカイプなどのオンライン通話サービスを使うかどうか迷うところですが、おそらくやり方はあるはずです。

例えば、「Sprint Stories」にこんな事例があります。イギリスの町役場で書類を提出しに来る人が、試作品として置いてある機械をどう使うか検証する際、彼らはビデオでユーザーの行動を見る代わりに、役所で新聞を読むふりをしながらモニタリングしていたんです。デジタル機器を一切使わなくとも、スプリントを最後まで実行する方法はあると思います。

──スプリントは5日間連続でチームメンバー全員の時間を確保しなければならないと本に書かれています。これを実行するのはとても難しいと思うのですが、どうやってメンバーを説得すべきですか?

ジェイク:タイミングが重要です。現在、携わっているプロジェクトの最終段階に差しかかっているタイミングで、全員の作業を止めてしまうのはよくありません。しかし、プロジェクト初期段階でメンバーに「ここで5日間確保すれば、6カ月、1年分の仕事をしたことになる」と説明してみてください。

自分自身、初めてスプリントを活用したときは、そうやって周りを説得しました。1回経験してしまえば、2回目以降は受け入れてもらいやすいです。

──日本では、仕事の生産性をあげていくことが大企業、地方企業を含めて大きな課題となっています。スプリントは生産性を上げていくために、とても有効な手段だと思うのですが、ジェイクさん自身はスプリントの本質的な価値はどこにあるとお考えですか。

ジェイク:多くの人が生産性というものについて、カルト的な信念を持っているように感じます。もっと生産性をあげなければいけない、もっと色々なことやらないといけない……自分自身もその意識を持ちながら、長い間仕事をしてきました。でも、数年前に何か大事なものが抜けているんじゃないか、と思ったんです。

会社で一番重要な仕事ができているわけでもない。無駄な作業が多く、自分の時間が奪われていっている。だからこそ、今取り組んでいるものを効率よく行い、最高の結果を出せるようにしよう、と。そのために生まれたのがスプリントです。

何でもやれるようになろうと考えるのではなく、1日1つのことを最高のクオリティに高める。スプリントは、そのための最適なツールなのです。

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ジェイク・ナップ◎元GV(旧グーグル・ベンチャーズ)のデザインパートナー。グーグルにて、革新的な開発プロセスであるスプリントを考案、命名、GVではそのメソッドを改良し、完成させた。スプリントの生みの親。同メソッドは、Facebookやマッキンゼー・アンド・カンパニー、Airbnbなどの企業、コロンビア大学などの教育現場の他、政府機関や非営利団体で使われるようになった。ジェイク自身、100回以上のスプリントを行なっている。現在、世界で最も背の高いデザイナーの一人である。『SPRINT 最速仕事術――あらゆる仕事がうまくいく最も合理的な方法』(ダイヤモンド社刊)

池見幸浩◎grooves代表取締役。1977年生まれ。関西外国語大学卒業後、大手ITベンチャーで会長室、内部監査室長など歴任し、その後上場企業のオーナー系資産管理会社にて就業。経営ノウハウを学んだ後、2004年株式会社groovesを設立。以降HR×Technologyを中心に求人情報流通システム「クラウドエージェント」の運営やHRTech研究所の創設、エンジニア向けスキルDB「Forkwell」などをHR領域で様々な事業を展開。

文=新國翔大 写真=大崎えりや

ソフトバンク任天堂フェイスブックAirbnbマッキンゼー・アンド・カンパニーダイヤモンド社ニコンスマートマツダ

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