ビジネス

2017.06.23

「カジノ経営」をヒントにスキー愛好家を狙う高級リゾート

ベイルリゾートのロバート・カッツCEO。すでに人気スキー場を数多く抱えているが、北海道・ニセコを加えることも考えている。(photography by Matt Nager)

新規顧客が見込めないなら、既在の顧客向けのサービスを増やせばよいだけ—。ある米高級スキーリゾートは、カジノ経営をヒントに、リピーターを増やしている。


「カジノにギャンブル中毒の客がいるように、スキーにも熱心な客がいます」

そう話すのは米スキーリゾート運営会社「ベイルリゾート」のロバート・カッツCEO(49)だ。同社は、コロラド州のキーストーン、ユタ州のパークシティをはじめ、人気スキー場を数多く抱えている。去年8月には、2010年バンクーバー冬季五輪の会場の一つ、ウィスラー・ブラッコムスキー場を買収している。

カッツCEOは、"カジノ経営"に多くのヒントを得ている。例えば、カジノが利用者の行動からデータを集めているように、ベイルもリフトやゴンドラにチップを埋め込み、スキー客の利用回数などを計測。熱心な客を割り出しているのだ。

また、カジノで提供されている”食べ放題”のようなこともしている。175ドル(約1万9500円)の1日券の他に、北米や欧州、オーストラリアにあるベイルリゾートのスキー場をシーズン中、無制限に使える849ドル(約9万4500円)の「エピック・パス」を導入したのだ。6回で元が取れることもあり、スキー好きに好評である。

カッツはスキー業界で成功する鍵は、新規顧客の開拓ではなく、「既在の客からより多くを引き出すこと」だと考えている。自社リゾートに北海道のニセコ地区を加える計画もあり、今後の動向が注目される。

文=ダニエル・フィッシャー 翻訳=フォーブスジャパン

この記事は 「Forbes JAPAN No.35 2017年6月号(2017/04/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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